お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

初めて知る真実

朝、リンゴを切って食卓に出した。

「ありがと。なに、これ・・・桃?」

「ええっ!?」

あまりのことに声をあげる。

「あ、違うか、なんだ、えっと・・柿・・あ、リンゴだ、リンゴ?」

わからないのかっ。というよりも、桃って。ましてや柿って・・色が全く違うだろうが。

そういえば、先日母が取り寄せた柿をお隣にお裾分けしようと、紙の手提げ袋に入れ、玄関の上に置いてあるのを

「あ、なにこれ。桃?」

と覗き込んでいた。あれも驚いたが、覗き込んだだけだから中までしっかり見ずにそう言ったのかなとも思っていたが、もしやアレも。

「リンゴです。桃、好きなの?」

「うん、大好き」

知らなかった。果物は出せばなんでも喜んで食べるから、好みに順位があることすら考えたこともなかった。

息子の好物のエビも実はそう好きではないと知ったのもつい最近のこと。

鍋の材料を選んでいる時

サービスのつもりで

「エビもいれちゃおっか」

と言うと「うーん」と言う生返事。

「いらない?」

「どっちかって言うとエビ、そんなに好きじゃない」

驚いた。毎週土日はどこかしら出かけていくので二人でスーパーで晩の食材選びなんて滅多にしない。いつも私一人で選んだものを調理して出していたが「これ嫌い」と言うものはこれまでなかった。エビフライもカキフライもロブスターのグラタンも喜んで食べていたからてっきり好物なのだとばっかり思っていたが、どうやらフライが好きなだけなのだろう。中身がエビやホタテであるよりは豚ロース肉である方が断然好きだろうとは承知していたが、「あまり好きでない」範疇だっとはびっくりである。

「へえーっ!へえーっ!」を連発し、豚しゃぶしゃぶ肉を大量にカゴに入れるとほっぺを光らせ喜んでいた。

そうか、桃が好きだったのか。

じゃあもっと買って出してあげればよかったな。お高いけども。

「桃も好き、梨も好き、あ、梨も好きだよ、柿も好き、果物なんでも好き」

夫はまたそう加えた。

なんでも好きなんでも美味しいと言って食べてくれるおかげで彼のこんな小さなことも知らず、今月、26年目の結婚記念日を迎えようとしている。

柿ピーだけじゃないんだな。

桃。お高い・・・梨も好きだよって二回、言ってたな、確か・・・。