お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

お食事

母の日だからあなた旦那さんとお食事してきなさいよ。予約しておいたから。

そう言っていただいたものの、夫は今日もテスト、テストが終わってからもう一度出直すのもあまり気乗りしない人。

「そんならそれを私からの母の日にするから二人で行こうよ」

と逆に母を誘った。

あなたたち夫婦はイベントをしないが、そういう時間も少しは作る練習をしないといけないと言っていたのも急に引き下げ

「あら。そう?そうする?」

と即決した。

それが今夜。

如水会館の中のレストランで令和記念のプチディナーが期間限定で用意されているらしく、それをいただきにいく。

如水会館。神保町にある。

結婚前まで住んでいた神保町は私にとっても母にとってもほぼ地元とも言える。

何を隠そう私が結婚式を挙げたのも、この如水会館である。

二人の思い出のレストランでたまにはしっとり食事でもしてくればいいのにという心遣いだったろうが、親にお膳立てされ、お洒落なレストランというのもしらけてしまう。そういうのは二人で「行こうか」といって企画したものがいい。

「そんなの待ってたらいつまでたってもあなたたち、どこにもいかないじゃない」

そう。毎週試験が続く今、無理やり連れて行ったところで静かな店内で疲れた顔したおっさんと向き合い、マナーに気を使いナイフとフォークを手に食しても、こっちが疲れてしまう。

あのおっさんが好きなのは焼き鳥屋。

そして私も今の夫と行くなら焼き鳥屋。

「何時に出る?」

母が頭にカーラーをたくさん巻きつけ顔をだす。

「せっかくだからちょっと早めに行って三省堂覗くでしょ?あなたヘナチョコだから、あんまり張り切って早くから出てもまた熱出されたら困るし」

帰宅したばかりの夫に、すいませんねぇ。私は二人でって言ったんだけどこの人、私とがいいって・・と胸を張って謝る。

「いえいえいえいえ。どうぞ、楽しんで」

弾んだ声で返す彼、さっきイソイソと買ってきたワインを冷蔵庫に入れたばかり。

カレーにワインに、ガリガリ君で、彼も今夜は伸び伸び母の日。