お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

わかってねぇなぁ

図書館の借りていた本を返す期日が迫っている。あと二日猶予あるが、どうも落ち着かない。

その日、体調が悪くなるかもしれない。ものすごく寒くて外出するのが、ものすごーく億劫になるかもしれない。

二週間延長を二回までできることになっているが、私が返却するのを今か今かと待っている人の影がちらつき、申し訳なく思う。

半分以上は読んだ。物語ではなくエッセイなので、ワールドは充分堪能した。

実のところ、堅物な作者の厳しく鋭い切り口に読み疲れもしてきて、ちょっとお腹いっぱい。

図書館のサイトを開き、利用者のページにログインする。予約待ち一冊、貸出中一冊と私の貸借り時状況がでた。

念のため、延長をかけておこう。二週間あれば、また気が向いて、ちょこちょこ読見切るかもしれない。まぁ、それより前に天気と体調のいい日に散歩がてら持っていくことになるだろうけど、一応。念のため。ごめんね。待っている人々。

申し訳ないっつと、延長ボタンをクリックした。

「この本は延長できません」

赤文字で表示された。

そうか。期日ぎりぎりだからか。それとも待ち人数が多いから延長対象外なのか。

そりゃそううだよなと、がっくりうなだれる。

そこにもうひとつ、備考欄に小さな黒い文字があるのを見つけた。

「この本は延長する必要ありません」

どういうことだろう。要はこういうことか。だぁれも待ってない本だし、そう人気のあるものでもないから、どうぞどうぞ、ゆっくり読んでていいよ〜。たぶん、当分これからもリクエストはこないでしょうし。ひっひっひ。

ひっひっひは、妄想だが、どうもそういうことらしい。

とたんに私は燃える。

この本の面白さがわかってないなんて。確かにメジャーじゃないが、コアなファンはきっといるはずだ。これが本棚にあるのを見つけたら、ラッキーと小躍りして借りるに決まってる。そういう貴重な、その筋の人にはたまらない本なんだからっ。

まったく。わかってないなぁ。

たった今、延長手続きをしたその日の午後、ムキになった勢いで、スタスタと図書館まできっちり返却しに行くのであった。

自分こそ、お腹いっぱいで読み残したままで。