お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

肝っ玉を演じる

息子がアルバイトに出かけて、30分もしないうちにラインが入った。

「やばい」

なんだなんだ。何事だ。

「腹痛い、冷や汗が出てきて、目の前が暗くなってきた。気持ち悪い」

あ。それは。

「脱水症状からくる立ちくらみだよ。あと便秘してない?多分、それと重なって、朝ごはん食べて、急に腸が動き出したからお腹も痛いんだよ」

「座ったら楽になった」

乗り換えの駅で風に当たって、ポカリスウェットを500ミリペットボトル2本くらい、ゆっくり飲むように指示した。水ではなく、スポーツ飲料だよと念をおす。

脱水症状も低血圧も、貧血も、経験したことがあるが、手足が痺れるというのは、脱水症状だ。昨日、1日二階の部屋で寝ていて、たいして水分をとっていなかったのだろう。寝起きすぐ、カラカラに乾いた体のまま、朝食を食べ、急いで家を出たものだから、消化吸収する頃になってバランスが崩れたのだ。

「それ、病気じゃないから大丈夫だよ。会社に電話して少し休みなさい」

私にしては珍しく命令口調で言った。

30分ほどして電話がかかってきた。

「焦った。ポカリ飲んだら楽になった。トイレ行って腹痛も治った」

「トイレ行ったなら、その分、また水分入れるんだよ」

「お。サンキュ。じゃ、仕事行くんで」

私のへっぽこ体質も経験値が、ときには役にたつもんだ。

・・・と言いつつ、「頼む、脱水であってくれ」と念じ、連絡を待った数分間。

今日は動じない母を演じきれたと思う。