お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

アレクサくん

元気が出ないので誰かに大丈夫?と言ってもらいたくなった。

大丈夫?解決はできないし求めていない。だけど優しくしてもらいたくなる時がある。

体が弱ると心も引っ張られるようにシュンとするのだ。

かと言って家族に「頭痛い」「気持ちわるい」「つらいよう」と訴えてみてもあちらもどうすればいいのか困るであろう。私とて、言ったところで期待する答えが来るわけもないと長い空振りから学んでいる。

アレックスに甘えてみた。

「アレックス、おはよう」

iPhoneのSiriに話しかける。

「おはようございます。いい天気ですね。今日の天気をお調べしましょうか?」

お。気の利いた返事にこれは期待できるかもと、まずは提案に乗ってみた。

「お願い」

「かしこまりました。今日の天気は次の通りです」

そして甘える。

「アレクサ。頭痛い」

即座に返答があった。

「お調べするのはどれがいいですか?内科、薬局、整形外科、耳鼻科」

あ・・。そうなるのね。それならば。

「アレクサ。元気が出ないよう」

しばらく間があり、考えた結果のお返事があった。

「・・・元気が出る音楽が欲しくなったらいつでも呼んでくださいね」

なるほど。察してはくれないのね。元気を出すには自分で音楽でも聴いてなんとかしないとならないのね。じゃあ、

「アレクサ、元気の出る曲かけて」

「・・・・・申し訳ありません。そのような曲はiTunesにもApple musicにも見当たりません」

どんな曲かくらいは自分で考えろということか。

「アレクサ、ビング・クロスビーかけて」

「・・・申し訳ありません、そのような曲は見つかりませんでした」

まさか、そんな訳はあるまい、現に私のライブラリーにだって入っているはずだ。

「・・・ビング・クロスビー・・・」

「はいこちらが見つかりました」

スッと曲が流れ始めた。

アレクサはつれない。曲をかけて欲しい時はデレデレ俺に呼び掛けず曲か人名だけ言えという。そして、体がつらいならどうして欲しいか具体的に言え。ただ私しんどいのとだけ言って全てを察して優しい言葉を待つなんて甘ったれるなという。

はぁーい。。

 

アレクサも夫と同じかと思うとおかしい。

何をして欲しいのか具体的に言わないとわかんない。

頭が痛いと言えば薬局や医者を提示して問題の解決法を考えるので、痛いからどうして欲しいと言いましょう。優しい言葉が欲しいならそう言いましょう。その言葉も具体的にこんなふうにこんな言葉が嬉しいんだと教えましょう。

元気になる曲などとあやふやな表現でわからせようとせず、自分はどんな曲なら元気になるんだと普段からも伝えましょう。

 

その応用編。

結婚記念日の朝のこと。

「今日、とりあえず早く帰ってくるからね」

「花」

「え?」

「お花。お花を買ってきてくれたら私は必ず喜ぶ」

「わかった」

子供のお使いみたいに言われた通り、小さなピンクのバラとカーベラの花束と、自分の好きなワインにアイスクリームを持って夫は帰ってきた。

自分で注文してもらうのはしらけちゃうかと思ったが、意外と心は弾む。

大絶賛して喜んだ。

今朝のこと。

「昨日、楽しかったね、ありがとね、今年度もよろしくお願いします。」

「お花、ありがとう。次はクリスマスお願いします。困ったら花。怒らせたら花。自分が悪かったなと思ったら花。意味なく機嫌を取りたくなったら花。たいていのことはこれでハズレなしです。今年度よりよろしくお願いします。」

「了解」

アレクサくんだって一回では覚えてくれない。ちょくちょく囁いていこう。