お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

甘やかす

今朝、本当に呆然とした。

着る服がないのだ。正確に言うと上の普段着がない。チノパンやデニムはあるけれど、その上に着る気楽なシャツがない。綿のカーデイガンも、長袖のTシャツも。

スーツの下に着るようなワイシャツが三枚あるけれど、家事をするにはどうにも窮屈で駄目だ。

衣替えの衣類ケースをのぞく。こちらは半袖ばかり。

 

私の服はどうしてこんなに無いんだ。あるのは裾や袖口がほつれて生地も薄くなっているものばかりで、さすがにこれを着て外には行けない。

あぁ。これも鬱だったころのなごりか。

毎日引きこもっていたから着る物なんかどうでもよかった。あんまり小汚いなりをしていたから、母がみかねて派手な服を買ってきたりするのだが、それを着る気合いもなかった。

服を買ったり身なりを整えたりするのは意外とエネルギーがいるのだと思う。

このところ、春のせいか体調が悪く

「やっぱり、死ぬまで人並の体力になれることはないのかもなぁ」

と、どんよりしていたが、こうしてみると僅か数年の間に、街を歩き、花を写真に撮り、息子とテレビを観、声をだして笑い、漫画を借り、友達に手紙を書き、ずいぶんと開放されてきているじゃないか。

急に自分が愛おしくてたまらなくなった。

よく頑張って来たじゃん。大丈夫。大丈夫。ちゃんと良い方向にむかってる。

頑張ってきたつもりはまったくなかったが、なんだかぎゅうっと、自分自身を抱きしめてやりたい。

タンスの引き出しを開ける。黒だか白だかわからなくなったトロントロンのスウェット。息子のお下がりの白いシャツとネルのチェックのシャツ。毛玉のついた3、4年前から履いているタイツ。穴のあきそうなくつ下。姉のお下がりの首回りの伸びたトレーナー。

捨てな捨てな。もう、こんなもの着るんじゃないよ。みんな捨てちゃいな。

私の中の神様が私に言う。

思いきってほとんど処分して引き出しをスカスカにする。

新しい服を買おう。安くてもいい。自分のために自分が着たいと思うものをここに入れよう。

元気になれる。きっとここに気にいった好きなデザインと素材の服が収まったら、朝も弾む。

そうやってゆっくりゆっくり元気になっていけばいい。