お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

母の主張

ご近所さんともやり取りをするが、お隣さんとはまた別にお裾分けをよくする。

箱で届く長芋だったり、りんご、ぶどうだったり、あちらのお手製のお赤飯に私の作った煮豆だったり。

ラリーが続く時もあれば、貰いっぱなしでまた何か頂き物やお土産があったら持っていくまで間が空いたりまちまちだ。

初めの頃は「まあすみませン」「いえいえほんの少しですけど」と、ぎこちなかった会話も気がつけば「お赤飯、いる?」「いるーっ」に変わっていった。

ここにすみ始めて24年、長い積み重ねでやっとここまで近づいた。距離感が嬉しい。

そのお隣さんが先日、立派な葡萄を2房、持ってきてくれた。母のところに1つ持っていく。

「またいただいたの?」

「うん、この前私が京都のお土産持っていったからじゃないかな」

「あなた、何持っていったの」

「お新香と八つ橋」

「それっぽっち・・」

母は恐縮する。娘が知らぬ間に訳のわからないことをしているが、変なもの持っていってんじゃないでしょうね。あの子の作ったものなんか美味しいの?ご迷惑なんじゃないの?お土産だってもっとちゃんとした(価格の高い)もの持っていけばいいのに。

「今度何かお返ししないと悪いわ。私が後ろについていて」

おいおいおいおい。わたしゃ50だよ。

「いいと思うよ、別に。そんなすごい値段のするものだったらお互いやりづらいよ」

そんなぁ。あなたはそういうけど、世間はそういうものじゃないですよ。

まぁいいっていいってと引き上げた。

今朝。コンコンとノックと共に「ちょっといい?」と母が顔を出す。

「これ。柿。お姉さんが好きだから取り寄せたの。お隣さんに持っていってよ」

ふふふ。あのまま引き下がりはしないだろうと思ってた。

「はーい、じゃ、持ってくね。母からですって」

「いやいやいやいやそんな。あなたからでいいのよ。そうしなさい。お母さんからってなるとまた気を遣わせるから。黙って持って行きなさい。母が取り寄せましたって」

そっちの方が気を使うじゃないかいっ。

「じゃ、母がたくさんもらったからって言うわ」

「あら、それじゃダメよ、ちゃんと取り寄せたっていってよっ」

可愛いのう。

 

お隣さんには

「母のところに箱で届いたんでお裾分け」

と言いました。

嘘では、ない。