お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

危ない奴ってことになっちゃったじゃねえかよ

日本全国みなさんどうか台風での被害にあいませんように。

もし今辛い状況であってもどうか命と大切なものが守られますように。

 

あれから夜遅く、本当に遅くに息子の携帯が鳴った。

「職場から電話が来て、明日、来なくてもいいって。でも明後日は来れたら来て欲しいってさ。来られますかって言われてもなあ。明日休んだら朝から通常通りの時間に行けるわけないじゃんよ。」

「でもとりあえず明日は行かないんでしょ」

明後日のことはどうでもよろし。とにかく家にいることになったんだよねとホッとしたい。

「でもさ、明後日の朝から勤務するならやっぱり前乗りしておかないと無理だぜ」

「泊まるの?」

「だって日曜のこと考えたらそうするしかないだろう」

それは責任感なのか、情熱なのか、それとも会社からの評価を意識して有能でありたいと思ってのことか。

「日曜だって電車が動いた次第で行けばいいんじゃないの?ホテルキャンセルしたっていいじゃん」

「日曜は遅刻したら勤怠扱いにするっていうからさ、やだよそんなのせっかく授業で一回休んだ以外は無遅刻無欠席だっていうのに」

「あのさあ、何のためにバイトしているのか、何を基準に生きているのか、自分の正義は本当に正義なのか、ちょっとゆっくり落ち着いて考えてごらん。一晩あるでしょ」

ああしなさいこうしなさいと言うのが一番彼には向いていない。

そんなことすれば意地になるだけだということを母は学んでいる。

ああもう。

1時間もしないで二階から降りてきた。

「ホテルキャンセルした。会社には日曜は行けたら行くっていった。何だよ、だいたい連絡が遅いんだよ」

決まり悪そうに憤慨する。

「ホテルなんかとった俺がバカみたいじゃないか。会社の人にホテルとってますっていったら『えぇっ、それって偉すぎません!?』って驚かれた、俺、危ない奴みたいに思われたんじゃないか。ドン引きされたに決まってる」

今度は激しく落ち込む。

「そんなことないよ。責任感あるなって思ったよきっと」

やれやれ。今度は励ますのかいな。

なんでもいい。とにかく家から出ていかないのだ。

私がホッとできてよかったよお。