お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

落ち着かない

台風に備えて朝から庭の植木や椅子、ポリバケツ、ベランダの物干し竿を避難させた。たいていの場合「まあそれでもなんとか大丈夫でしょ」と呑気に構えているが、どうやら今回は本当に警戒しないとならないようだ。

買い出しにスーパーに行ってそれが現実味を増す。

午前中、しかも開店間際だというのにもうすでにレジには長い長い順番待ちの列。どのくらい長いかというとお菓子やコーヒーを陳列する通路から治まらず、さらに店内突き当たりの肉、魚のコーナーにまでクネクネと伸びている。7つあるレジから7本の行列が店内を埋め尽くす。

晦日のときだってこんなことはない。

カップラーメンが消えていた。

白菜が消えつつあった。

鍋とインスタント。みんな似たようなことを考えるのだろう。

ご多分に漏れず白菜二株、カップ麺も4つ、カゴに入れる。隣の母の家の分もあるので食糧確保に重大な責任を感じるから必死だ。

この異常さ。ある意味皆が同じ目的で店内にいることに生命共同体のようなつながりを勝手に感じる。

わたしの番がきた。

レジでバーコードをピッとやっていたのは顔見知りの女性だった。

「大変だね」

「そうなの〜。も、すでにヘトヘト」

「人のためにやってあげて自分の家は大丈夫なの?」

「あ、一応水の買い溜めはあるし冷凍庫もいろいろあるからなんとか」

ああよかったと思いすぐ、余計なお世話だったと自分に呆れた。

さて。

人様の家庭の備えを案じている場合ではない。

息子のアルバイトである。

通常7千円代で泊まれるホテルが34000円にまで宿泊料が上がっているというのに迷うことなく予約をしてまで出勤しようとしている彼をなんとか引き止めたい。

「んだよ、働きたいんだよ、俺は!いいだろ、自分の金でやるぶんには」

今朝の時点では聞く耳を持たなかった。

これは。またしても腹を括る時か。

いやしかし。万が一ということがあるじゃないか。

大袈裟に言えば命、怪我そっちのレベルの話だぞ。いいのか。見守って。

ここは煩がられようと自分の想いをプッシュしてもよいのではないか。

いやいや一人暮らしをしていたらそれもできない。

わたし自身がホッとしたいから休めばいいのにと思っているのかしら・・・。

帰宅しておでんをつくり、多めに買った肉を冷凍し、掃除機をかけトイレを掃除し、昼ごはん。

ツナトーストをかじりながらテレビの台風情報を眺める。

たかだか一日のことでこんなに頭が一杯になるんだなあ。

息子がいつかは一人暮らしを始めることを心待ちにしていたが、実際そうなると、いつもこんなふうにもどかしくハラハラ心配しつつ祈る日々なのかもしれないなあ。

よし。

腹をくくろう。

祈ろう。