お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

呪文を聞かれた

四時半に目が覚めたときに頭痛と吐き気がうっすらした。

どっちもよくあることなので、それごとひきつれて一階に下りて水を飲む。

そうだ昨夜遅く帰った夫の食器と鍋が洗っていない。

朝食を作るときにやる気がうせる。

降りたついでに洗おうか。

目はしょぼしょぼしたまま、はじめた。

寝起きの頭はめんどくさいとか量がけっこうあるななどという思考も浮かばない。あるものを淡々と拾い上げスポンジで磨き、水を流す。

・・・・夫の朝食だけ用意しておいたら起きたとき楽でいいな。

また、淡々と鍋に出汁をはり、きのこ、もやしでみそ汁を作る。

冷蔵庫から茄子とピーマンの甘味噌炒めの残りを小鉢にいれ、トマト、キウイ、ぬか漬け、納豆、ご飯茶碗とみそ汁のお椀、箸をセットしてお盆に乗せた。

時刻は5時半。ついでに洗濯機を回し、また二階に戻った。

夫はまだまだ深い眠りの中。寝ている芝居を口で演じてるんじゃないかと思うほどはっきりした口調のように寝息でスーハースーハー呼吸している。

この人のこの健康さは宝だ。我が家の。

またベッドにもぐりこむ。眠れないが目を閉じる。ああ至福だ。

夫の目覚ましが鳴った。6時。まだ起きたくない。

「おはよう」

「おはよう。ご飯用意してあるから先降りてて。私、もう少し寝る」

どうかしたのとも聞かず、はーいと言うのを聞いて安心してまた目をつぶる。

なんか気持ち悪い。起きたくないが時刻は7時。起きなくちゃ。

そうだ、昨日のおまじない。「きょうもいい日がはじまるぞ・・」

モゴモゴ力のない小声で言ってみた。

いかん、だめ。大きな声で言わないとそう思い込めない。

「今日も完璧な幸せな一日がはじまっている!」

「へ。なに?」

おっ夫?まだいたのか!?はっずかしい!

「なんか言った?」

「ご飯できてお盆にあるから」

「あーありがと。起きる、寝たままiPhoneで調べもんしてた」

「あと、靴下、涼感の買っておいたから」

「トンさーん、ありがとう〜。なんでわかったの?蒸れて気になってたの〜。」

「いいから、早く下お行きよ」

夫は私の呪文を聞いたはず。そこを突っ込んでこないのが彼の特徴。それは具合が悪いと言ったときも掘り下げないし、今みたいに適当にごまかしたいときにも同じく作用する。

かまってほしいとか、気遣ってほしいを手に入れたいならこれは手放さないと無理なのだ。

やっぱり彼のでこぼこは私向きにできている。

これも完璧の幸せの一部。