お疲れでプチ喧嘩 その1
昨日は一日使い物にならなかった。
その前日の晩、なんだか異様にだるく、食事をしたあと食器をさげるのも億劫で息子に
「悪いけど、わたしのもついでに下げてよ」
と頼んだ。息子はいかにもめんどくさそうに
「なんでだよ・・自分のものは自分でやればいいだろ、俺は俺のを下げるてんだから」
と渋った。
カチーン。たまには気持ちよく「いいよ」と引き受けることができんのか。自分のものは自分でだと?だったら自分の食べるもんくらい自分で作れ、洗濯も自分でしろ。
とは言わなかったが
「じゃあ明日の朝から自分の分だけご飯作る。」
似たようなものだ。臍をまげた。
「なんでだよ、なんで俺が人の分までしなくちゃなんないんだよ、ゴミだってさ・・」
なんだとぉっ。朝ビニールにまとめたゴミをすぐそこの集積所に、ついでに置いておいてくれというのも、俺の仕事じゃねえと言うのか。家でのんびりしてるところを頼んだとことはない。出かけるときのついでにしか頼んだことはないじゃないか。
「そう・・じゃ、ゴミを捨てるのも、すべてわたしがやればいいというのだね・・・みんなで使うトイレ掃除も、風呂掃除も」
自分で方向性が激しくずれていることはわかっている。わかっちゃいるが、ぐずってからんでしまう。人は・・いや、私は体力がなくなってくるとキャパシティも明らかに小さくなるのだ。
なんでそういうことになるんだよと舌打ちをしつつ、結局私の食べ終えたお盆を流しにもっていき、
「じゃ、おれ、二階でのんびりしてくるから」
と、逃げた。
その翌朝が昨日だったわけだ。
目が覚め、自分が臍を曲げたことも、なんで曲げたのかも覚えていることにがっかりする。くっそう。
息子はあのまま風呂も入らずそのまま寝たらしく、呑気にまだ布団のなかにいる。自分のことは自分でと言っておきながら、自分で遅刻しない時間に起きてこない。
「朝ですよ」
声をかけ、台所にいき、朝食をつくる。昨夜のわだかまりから、意地でも頼むものかとゴミを出し、通りに落ちた金柑の葉を勢いよく穿き集める。
息子がのそのそ起きてきて「風呂湧かしていい?」と聞く。「どうぞ」。風呂から上がると「ごはん、どれ?」「は?」「いや、まだでてないから」。お盆に鮭のおにぎりと肉じゃが、トマト、みそ汁、いちごをのせて「どうぞ」。目を見ない。
「なんだよ」
「なにが」
「なんでちゃんと会話しないんだよっ」
「今、ちゃんとした会話をしたくない気分だから」
「わかったよ、いいよ」
未熟だ。一晩明けたらすべてゼロ。フラットなスタートを切るほうが自分だって気分がいいことくらいよく承知しているのに。
コントロールがきかない。
人は・・ではなく私は、体力がなくなると精神が幼児に戻る。
息子は俺だって負けずに怒ってるんだからなと言わんばかりに黙って玄関を出て行った。
どんなに喧嘩をしても見送りだけはする暗黙の了解も「どうでもいいや」と投げやりに洗濯物を干す朝だった。