お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

支え

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大学の友人から箱いっぱいのミニトマトが届いた。

私のお母さんのような人。

お酒も飲めて、恋人もいて、悩み多き女学生仲間の中では唯一、いつでも情緒、恋愛、成績、どれも安定していた。

私の大学時代のボーイフレンドも、ずっと側で見て知っている。卒業後、これまでと全く関係のない、職場で知り合った夫と結婚することになったとき、「私がみてあげるから連れておいで」と居酒屋で三人で食事をした。

「いい奴そうじゃん、合格」

実家の福島に戻るとき、彼女に呼ばれ、三人でなぜか六義園を散歩し、中の茶屋でみそおでんを食べた。

「タッさん、この子は一生懸命生きてるけどなんか不器用なの、誰よりもまっすぐだから誰よりも傷つくんだよ、わかってる?泣かしたら私が許さないからね」

そう言ってくれた。

夫が私の父に結婚の許しをもらう場から席を外していたので、その時の二人の表情も会話も知らない。だから、この彼女の一言を聞いた時、ああ、私、結婚するんだなあと思ったことを覚えている。

危篤になっとことを誰にも知らせていなかったのに、どうやって知ったのだろう。

福岡からひょっこり病室にやってきた。

「あんた、何やってんの・・・タッさんどこ、呼びなさい・・アイツめあれほど頼んだのに・・」

そう泣いて笑ってくれた。彼と二人で選んだ曲をiPod nanoに入れて「元気でるから」と置いていってくれた。

 

退院してから毎年彼女から新鮮な魚や野菜が届くようになった。私は彼女に東京のお菓子を送る。あれ以来会っていないが彼女はいつも私のそばにいる。

箱いっぱいのトマトは果物みたいに甘い。

惜しいのをグッとこらえ、袋いっぱいに詰め母のところに持っていってやった。

本当に惜しいなぁ、詰め込んだところから少し減らす。

いやいや、幸福は皆で分かち合うものと、また詰め戻す。

体重を増やそうと、あれやこれや量を増やしたり間食したりと試行錯誤し続け、最近ずっと胃腸が重く、やっぱりもう無理かと諦め気味になっていた。そこに届いた宝石箱。

負けるな。頑張れ。そのままいけ。

神様が彼女を使って背を押してくれているのかもしれない。