お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

朝から発動

朝、昨日取り込んだ洗濯物を畳みしまおうと、息子の寝ている部屋を開けた。

ぬおっと男臭い。

ゴヨンゴヨンゴヨンと機械音がする。やだ、図々しい。夜通しエアコンつけてたんだ。

ゴチャゴチャしている机をまずはじっと凝視する。あった。あそこだ。そっと手を伸ばし、とりあげ、電源のボタンを押してスイッチを切った。

ピ。

「ンあんだよっ!」

地獄の底から吠えるような声がした。

「もう朝で涼しいから、エアコン消すね。窓開けるよ」

べつにあれこれ机の上を整理しているわけじゃないんだと説明すると

「エアコンつけてねえし!」

「え?あれ?あ、ほんとだ」

みると、確かにエアコンの羽はぴっちり閉じている。あれ、じゃあ、あの機械音は・・・。

息子がニョキッと足を伸ばして、ぐるぐる回す。その先を追って振り返ると、高さ50センチ程度の白い直方体の冷風扇が、地味に穏やかな風を送り出していた。

あ、そうだ、この前、暑い暑いと言う息子に、いまからエアコンつけられたらたまらんと、だしたんだった。

「あら、ほんとだ、ごめん、失礼しました。ふふふふふ」

我ながらおかしい。

「エアコンよし、リモコンよし、冷風機、よし。はい、ちゃんと全部正常に稼働します、大丈夫です」

指差し点検でごまかしながら窓に向かい、朝の空気を入れようとすると

「ちなみに窓もすでに開いているがな」

背後からやや冷めた静かな低音で息子が付け加えた。

「窓良し、換気よし!異常なし!はい、問題なし、安心して寝てよし」

「ったく何しにきたんだ」

「部屋の設備点検完了いたしました」

「朝からオッチョコ発動なのはいいから。はよ、行け」

オッチョコって・・・。