お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

放置ってことで

昨夜の夫は歓迎会なのであった。

夫の夕飯がいらないとなるとすぐに手を抜こうと、その晩私は惣菜を買った。夕食後、9時。

「わたしゃ先に寝るので、父さんが帰ってきたら受け止めてやってくれ」

「あいつ酔っ払って帰ってくるとそこで寝るからな」

「お二人で仲良くリビングで朝を迎えてくださっても結構」

「おれは二階で寝るがな」

さっさと二階に上がり布団に潜り込む。まだ9時だからラジオでも聴きながら目を閉じていよう思っていたのだが、気がついたらストンと寝ていたようだった。

パチっと突然眼が覚める。11時半。覗くと夫の布団はペッチャンコ、まだ帰ってないんだな。

階段を降りていくと息子が煌々とした灯りの下iPadでゲームをしていた。

「まだお外?」

「まだだよ」

二次会に誘ってもらえたのかな。あんまり早く帰ってくるのも、まあ。

そこにガチャっと玄関の扉が開いた。

「おそろし、妻のタイミング」

息子がにやりと笑う。

ご機嫌で帰ってきた夫は「みんな〜待っててくれたの〜」と踊る。

「じゃ、息子、よろしく」

機嫌よく無事に帰ってきたのを確認して私はまたさっさと二階に上がって寝た。

 

「おきろっおきろってば!どけ」

「なんで?なんで?」

「あーもう、どこ行ってんだよぉ、そこ違う違う」

うとうと寝入ったばかりのところで息子が飛び込んできた。

「静かだから見に来たら俺のベッドで寝てやがった。起きろって起こしたら今度は納戸に入っていって、ありゃダメだ、そうとう酔ってる。あーもうおれの布団が酒くせえ」

そう言っている背後で夫が階段を降りていく気配がした。

「で、今何処にいるの?」

様子を見に行った息子が

「ダメだ、今度は一階で熟睡してる、手がつけられん」

「・・・。ま、いっか。一応家の中だし。この気温じゃ、風邪もひかんでしょう。どこかのホームで寝てること思えば安心だ。寝よ」

はしゃいで、いいお酒だったようだし。

「そだな。大丈夫だな。よし、放置」

 

早朝、風呂場の窓を閉め扉をグイッと閉める夫特有の音で目が覚めた。

あのままリビングで寝て今、目覚めたのだろう。

そのままトロトロ眠りに落ちていると寝室のドアが開いた。

「おはよう。お風呂入った。あ、ぼく、今帰ってきたんじゃないからね」

知ってます。