お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

基地づくりの楽しみ

くっくっクリエイターに気を良くした息子は、散歩にでた。と。思いきや、今しがた、帰ってきた。緑道往復所要時間30分弱、距離、凡そ1キロ弱。

「外歩きを嫌がる犬の散歩かい」

「行くだけいいだろ」

そうです。行くだけ、いいです。外気に当たるだけでも違います。

 

久しぶりに寝室の模様替えをした。

ベッドの向きがどうにもピンとこないまま、別に決定的な不便もないしとそのままにしていたのだが、やはり、身体は嘘をつけない。

違和感を感じつつの睡眠は浅い。おまけに気に入っていない配置だから、自然と部屋から足が遠のく。

私の部屋のモットーは「ウキウキすること」。

オシャレでもなんでもないけれど、自分にしかわからないツボのようなものがあって、そこをドンピシャと抑えてないと、居心地が悪い。

それは日の当たる場所に机があるとか、テレビを見るとき、ごろ寝するところにいい具合にホットカーペットがあるとか。物が少ないこととか、自分に合った動線が確保されているとか。

ちょいちょい、「もっといい配置はないか」と自分好みの使い勝手のよさを追求してはマイナーチェンジを繰り返している。

息子が幼稚園の頃は、テレビに出てくるような可愛らしい小物やレースのある家づくりに凝っていた。子供の描いた絵を飾り、トールペインティングをママ友さんに習ったり、テーブルセンター、カフェカーテン、ランチョンマット。

幸せ溢れる家庭ってこんな感じ?と、表面的な、人が来れば「あら素敵」と言ってもらえるような部屋を目指していたように思う。

今はひたすら居心地重視となった。ちょうど着る洋服も流行や素敵さよりも着心地を求めるようになったあたりから、そうなった。

テーブルもせっかくの木の温もりが心地よいので木目が見えるよう剥き出しにしている。余計なレースもカゴもフリフリも今はない。食器も本当に使うものだけに随分減らした。

削いで削いで削いで。本当に自分が求めているものの形がそれで見えてくる。

 

引きもっていた納戸から、リビング経由でまた、寝室に机を戻した今。

この寝室も、小さな小さな違和感が我慢できなくなってきた。

机を北向きにした。風水だと南に向いている方が発想も豊かになるとか聞いたことがあり、ずっと何が何でも机だけは南の窓に向けていた。そうしていないと自分の中の何かが死んでしまうとすら思って、半ば強迫観念のように。

風水がなにさ。私の部屋だ。私の心地よさが一番じゃないの。本能のまま、好きなようにしよう。

やっと、縛りが解けた。家具を並べなおす。

机の前に本棚を置き、座ってぼんやりしてるとなんとなく読みかけの本達に手が伸びるように。

本棚の上にはミニコンボを乗せ、ラジオも音楽も側に。

机の左側の窓からは夕焼けが沈んで行くのがいつも見える。

机に座ると背中から南側の日光が当たってぬくぬくする。

ベッドは壁に寄せた。IKEAの椅子に座ったままそこに足を投げ出すと具合がいい。ここで目を閉じてだらんとする極楽さったら。

人がのぞいたら、センスのかけらもない質素な部屋だが、今現在の私にとっては、「動きたくない」くらい居心地のいい基地が出来上がった。

夫のベッドと私のベッドがちょうど、エル字型になった。寝ながら喋るのに、並んでいるより頭だけ寄せ合っていて、いい距離感になった。

 

夢中になってやって、日が暮れた。

何やってんだろ。私。

でも、ウキウキは湧いて止まらない。