お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

磁石男

夜、寝るとき、同じ部屋の中にもう一人いて、「おやすみ」と言い、私もそれに「おやすみ」と言ってベッドに潜り込む。

朝、トイレに行こうとベッドから降りると「おはよう」と声がした。

一緒にいる暮らし。

それが特別な効き目があるわけでもないけど、なにか違う。

砂漠の中に立っていたところに磁石が転がってきたような。

自分の位置を見失わないお守りが手元にある安心感。

 

樹木希林さんがご主人のことを「私の重し」だとおっしゃっていた。

よくも悪くも柔軟であらゆる発想から行動を起こす人間だから、それを引き止める「重し」のような存在が自分には必要だと思ったとういう意味のことを話しておられた。

私にとって夫は磁石。

こっちに進めとは言わないけれど「今、ここにいる」と自分の位置が見えてくる。

そうか、私は今、ここにいるのか。

 

今日読んだ本に【実際に生きるときこれからなにが起こるか知りません。人生で何が起こるかは決まっていないので、結末も知りようがないのです。未来はまだきていないというより、ただ「ない」のです。  本をどう読むか 幸せになる読書術 岸見一郎】というのがあったが、その「ない未来」に対して意味もなく怯えるときがある。

今自分がどこにいて、周りはどう動いていて、これからどうなっていくのか。

イカ割りのように信じる方向を向いて一歩一歩、探りつつ進んでいるけれど、自分がどこに向かっているのか全く把握できていない不安感。

そんなとき「ああ、ここなのか」とわかることがとても私を安心させる。

 

オナラをして「あぁ。。」と声を漏らす頭の薄くなっているこのおじさんの何がそうさせるのか、どうしてそうなったのか、なんとなく理解できるがはっきりと解明できない。

こんばん磁石は関西に移動する。

またスイカ割りの暮らしが始まるってことだ。