お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

眺めると落ち着く

夫が朝帰ってきた。

大根、キャベツ、白菜。とにかく野菜。味噌汁を作る。

納豆とアジの干物にリンゴ。

どう見ても髪はボサボサで美人でもない女の私の顔を見て「ほっとする」と嬉しそうに笑ってくれるのは世界中探し回ってもこの人しかいない。

愛されるから愛するという訳ではない。けれど、大事にしようと思う。

全く知らないところで生まれ育った二つの命が途中から出会い、日々を重ね互いに離れ難い魂同士になる。

小さな偶然の分かれ道をいくつも通過して辿り着いた点。そこにこの人がいた。

向こうも、そう。そこに私がいた。

それでも夫は私の中では主役ではない。

主役は私。

息子も登場人物。母も姉もこの人生に彩りを与える重要な人間。

みんな脇役で私が主役。

主役でありながら同時にそれを見つめる存在でもある。

どの人物にも深く思い入れをしないで、遠くから眺めている。

いったんすうっと離れて眺めると、すうっと気持ちが落ち着く。

自分に思い入れをしすぎておかしくなってたバランスが見えてくる。

ちょうど、絵描きが絵を描きながらふと筆を休めて二、三歩下がってキャンバス全体を見直すように。

夢中になって描き進める時期。

引いて眺める時期。

吸って、吐いて。吸って、吐いて。

主役は私。