お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

姫にはなれず

結局私は庶民なのであった。

部屋の真ん中のベッドにワクワクしたのも数日、どこか落ち着かない。

あれだけ苦労していろいろ動かしたものだから、それを認めたくなくてなんとか、馴染もう馴染もうとするのだが、部屋のど真ん中で一人天井を見上げていると、この世に一人きりのような気になってくる。

それこそ求めていた安らぎのはずだったのだが。

爺やの寝床は足下の壁にピタリと張り付いて黙っている。

それはまるで、やりたい放題のわがまま姫の気まぐれに「慣れてますから」と気にも留めていないようにも見える。

昨日、半日滞在していた夫はこの部屋には立ち入らず、ずっと一階でラグビー観戦をしていた。鍋を囲み、早めのクリスマスケーキを食べ、柚湯に浸かってから八時半、この妻の暴走ぶりを目にしないまま、赴任先へ戻って行った。

夫を見送り、二階に上がり寝室の扉をあける。

でーん。

・・・。

さびしい。

こんな配置をしていたら夫が帰ってこなくなる気がする。

そして、骨の髄まで庶民でだらしのない私は、お芋とバナナを食べてよしっと力を蓄えてから、もう一度、一人ふんがふんがと、またベッドの向きを変えた。

壁に張り付いた爺やの寝床の真横に、頭の向きをそろえてピタリと並べる。やっと落ちついた。

なっさけな〜い。