お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

楽しむべし

夫が来週土曜日の朝、帰ってくるという。

「朝、ついて、夜の8時ごろまた、帰るから」

そんな半日だけのために。疲れるじゃないか。

会社の付き合いで買ったクリスマスケーキが、金曜に届くので、それを持って帰ってくる。

「わざわざそれだけのためなら無理しなくていいよ」

「いやでも、クリスマスには帰れないから」

つまり、その日の晩にクリスマスパーティをしたいということだ。

夫はこういうセレモニーを大切にする。家族団欒。

それでも一週間の疲れをそのまま背負い、夜行バスで東京に着いたと思ったら、その日の晩に帰るとは、ハードすぎて気の毒になってくる。変な義務感で倒れたりしやしないかと気が気じゃない。

「いいの、帰りたいんだから、帰るから」

ありがたいが、無理しないでいただきたい。

 

国民年金の受理書類、どこに置いとく?親父の引き出しに入れとく?」

息子が茶封筒をひらひらさせて聞いてきた。

「そこに置いといて。来週末帰ってくるから見てもらう」

「あ、また帰ってくるんだ」

「日帰りだけどね」

「なんでそんなにしてまで帰ってくるんだ」

「クリスマスケーキ届けてくれるんだよ。みんなで食べよって。息子ともご飯食べたいって言ってたよ」

しかたねぇな。早く帰ってやるか。ケタケタ笑いながら息子が言った。

「朝来て夜帰るなんて、博多華丸・大吉の日帰り旅じゃん。『午前中の生放送を終えてやってきたのはこの2人』」

テレビ番組のナレーションの真似を聞いて、そうかと気が楽になる。

「あ。そう思ったらそんなに可哀想でもないか」

「なんで可哀想なんだよっ」

大吉さんも華丸さんも大好きだ。大変だなぁと見ていたが、どこか呑気に眺めていた。

そして、ちゃんと朝の生放送も昼の生ラジオ番組も休むことなくこなしているのも、どこか当たり前のように思っていた。

身内だとつい。

つい心配が先に立つ。

無理してないか。疲れてないか。ちゃんと食べているのか寝てるのか。

心配っていうのは起きてもいない未来を勝手に予想して怖がることだ。

妄想。

しのごの言わず、楽しむべし。