麻婆豆腐と豚バラ炒め
夫の会社へのお土産を買いにデパートに行く。
二人で行こうかと思ったけれど、なんだか疲れていそうなので、誘うのをやめた。
事前にネットで商品の目処をつけ、二人で「これがいいね」と決めていたのだが、店頭にそれがない。予定していたものより1200円安いものか、1200円高いものだけが並んでいる。
どうしよう。
お店の人に尋ねると、お盆の帰省ギフトということで、いまはこれしか置いてないという。
夫に電話してみたところで「わかんないから、任せる」というに決まっている。写真をとって送信してから見比べてもらうこともできるが、デパートの店頭でこれ見よがしにシャッターをバシャバシャする度胸はない。
どういうわけだか値段は違うのに、うまいこと商品の組み合わせを工夫して、どちらも個別包装のお菓子が32個。
いっそのこと、高い方が数が多いとかだったら、迷う余地なく決まりなのに。
迷う。
ここのお店の売りのものが、びっしり入った高い方。
数は同じだが、名物のものは入っていない安い方。
そして安いほうが、大きな箱なのだ。
大きな葛籠と小さな葛籠。どっちを選ぶ?
うぅむ。
自分の職場だったら「いいやこっちで」と安い方にするであろう。
が、夫の職場。単身赴任者にとってそこは、アウェイ。
頑固で変わり者の夫はうまくやっているのか。決してお世辞や世間話を上手に言えるタイプではないからなぁ。
せめて手土産くらい、みんなが喜ぶものを持たせて和んでいただきたい。
私も務めていたとき、好きなお菓子の差し入れをもらうと、気持ちが弾んだのを思い出す。
「あの。これ、ください」
選んだのは小さな葛籠。1200円高い方。
せっかくデパ地下に行くんだから、名店街で餃子を買っちゃおうと思っていたのをやめればいい。
ここでケチケチすると、きっと私自身がいつまでも、あれでよかったか、やっぱりあっちにすればよかったかと気になるに違いない。
自分のために、ここは奮発。
と、いうわけで、今晩は麻婆豆腐とキャベツと豚バラの甘味噌炒め。