お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

幸せ

朝食を済ませ、また少し寝る。11時になってのそのそと起き出すと息子が

「あ、母ちゃん、始動したな」

と言った。そうだ。始動しよう。始動したいのだ。ここから平常運転にゆっくり持っていくぞ。

そうはいうものの、洗いあがって洗濯機の中でそのままになってる、水を含んだ洗濯物を、ハンガーにかけるのもしんどい。このいい気候の中、大物は乾燥機に放り込む。

いいのいいの。学校は行くけどお家でゆっくりの日なんだから。

トイレを掃除し、昼食前、買い物に出た。

陽にあたりながら歩いていると公園の大きな桜の木に風が吹いて、花びらが少し舞った。2年前の桜の頃のことを思い出した。

あの頃はまだカウンセリングを受けていた。その帰り道、なぜだか途方に暮れてあの桜の下のベンチでいつまでも桜の花が散るのをじっと見上げていた。

何を考えていたのか、なぜそんな気分だったのか、なにが怖くてやるせなかったのか、今となっては思い出せない。ただ、ただ、途方に暮れていた。

暖かったベンチに冷たい風が吹いて、あぁ帰らなくちゃと立ち上がったことは覚えている。

幸せだな。

今、私は幸せだ。

あのときの暗闇は今の私を支えてくれる。あの長いトンネルの日々があったから、今のこの、なにも起きない普通の日々が、欲しくて欲しくてたまらなかったものだとわかる。

無くしたものの方が多いのに、求めるものが減ったからか。

道に咲く花や雲を見て、穏やかさを取り戻す人に自分がなろうとは思ってもいなかった。もっともっと、何か届かないものを躍起になって追いかけていた気がする。

 

スーパーの隣にあるゲオに寄り道をした。

大人は微熱があっても寄り道をして良い。

知らないうちにコミックの貸し出しコーナーができていた。借りられていてもともとと思いながら探したら、あった。三月のライオンの最新刊。うっそ。

急に、ウキウキし始めるのがわかった。

今日の午後はこれだ。これを二階のベッドで寝っ転がりながら読もう。

こんな近くにこんないいものができた。たっくさんの漫画が並んでる。ここは私の本棚だ。まさに棚ぼた。

幸せだなぁ。お手軽な私。