お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

お礼を言いたい

今日は、午後から母のお歳暮の品選びに付き合う予定だったのだが、今朝、明日にしてくれということになった。

急遽、明日の予定と今日の午前中の病院と1日に詰め込んだ。夕方、ヘロンヘロンに疲れ果て、帰る間にちょっと甘いものをとドトールに寄り道をした。

頭の芯からぼうっとしているのに、自分の時間に戻って心を整えたいと本を読む。疲れるからもうやめようもうやめようと思っているうちに、一気に一冊読んでいた。

短いけれど、ぎゅうっと濃縮された時間に満足して、さあ帰ろうと荷物をまとめる。

ない。財布がない。

さっき、一番最初に座った席が入り口からの風が流れてくるので移動した。あそこだ。注文するときはあったのだから。この店の中だ。リュックと別に肩から下げるタイプの財布を席についておろした。移動するとき、リュックしか持たなかったのだろう。

ところが、というか、当然というか。もといた席にはなかった。床もその周辺もなりふり構わず、うろうろして見たが、ない。

本を一冊読んでいる間に小一時間は経っていた。その間、誰もこの席に座らなかったわけがない。

祈るような気持ちと、反面、持っていくような人はそうそういるまいという確信と、6対4くらいの割合の気持ちでカウンターに聞きにいった。

「あの、忘れ物、届いていませんか」

正確にいうと、忘れ物でなくて、粗忽者。

「はい。どういった忘れ物でしょう」

「お財布、黒い鞄型のお財布なんですけど」

ちょっと偉いポジションの感じの女性はニッと一瞬、した。

「お待ちください」

あった。あったのだ。やはり、座ろうとした誰かが、親切な人だった。

「念のためお名前を、いただけますか」

中に入れてあった診察券や保険証の名前と照らし合わせるのか、聞かれ、名前をいうと、それだけであっさり返してくれた。

クレジットカード、キャッシュカード、おろしたばかりの一万円。無事に、文字通り、何事もなかったかのように、私の手元に戻った。

朝からの疲れが一気に飛んだ。

良かったヨォ。良かったヨォ。ありがたいヨォ。

やっぱり私はついている。

どこの誰だか存じませんが、仏のどなたかさん、本当にありがとうございました。