お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

頑張るな

「トンちゃんに会いたい」急に連絡が入ったのは桜の咲く前だった。

会おう会おう、桜の咲く頃会おうねと約束し、それっきり彼女からの連絡は途絶えた。

しばらくして「あの約束まだ生きてる?」とまた突然メッセージがきてそこからトントン拍子に話は決まりやっと二十年ぶりの再会は果たされた。

大変だった。

大学院の長男は引きこもりになり暴力をふるうこと。

夫は無関心なこと。

同居するお舅さんたちは嫁の味付けと献立が気に入らないと食べてくれないこと。

次男はそんな家族の中で鬱になっていること。

そして彼女自身も鬱と摂食障害を繰り返している事。

それなのに彼女は「もうやんなっちゃう」と笑って他人事のように話す。

「わたし、今日だけは絶対行かせてくれないと死んでしまうって言ってきたの」

明るく彼女が話すから深刻な雰囲気にならないように相づちを打つ。

すぐ帰らないとと言っていたのに話しだしたら一気に大量の想いがとまらない。12時50分に待ち合わせたのに気がつくと4時だった。

「ありがと、やっぱりトンちゃんに会えてよかった。頑張ってきてよかった」

また会おう。いつでも私はここにいるから。

そう約束して別れたのが6月のこと。

今朝LINEが入る。

「ごめん、明日行けなくなった。」

彼女だった。「会える?」と彼女からのメッセージがきて、明日また会う事になっていたのだ。

「いいよ。どした」

「昨日ずっとシーツに張り付いて」

ああ。波がきたんだね。辛い頭と身体のなかで必死に連絡してくれたのだ。

「鬱かい。こっちは大丈夫。急がなくていいよ」

すると彼女が言った。

「鬱、治らない」

苦しいのがわかる。

「治さなくていいよ、うまくつきあっていけばいいよ」

だれだってバイオリズムは崩れる。

崩れると慌てて元に戻さないとと思う。

こんなはずでは、こんなようじゃいけない。

いいんだよ。ボロボロだってなんだって

笑えなくたって役に立たなくたって

存在していればいいんだよ

誰がなんと言おうと

責めようと関係ない

 「頑張ってキャンセルの連絡をくれてありがとう。待ってないからゆっくり休んで。そいでまた、会おう」

私は一生懸命生きてる今の貴方が大好きです。