お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

これって50の手習いかしら

刺繍の基本レッスンキットをネットで注文した。

作品を作るのではなく、ただひたすら基本のステッチや玉結びなどを淡々と練習する布である。

刺繍に憧れる。

針を刺して、抜く。刺して、抜く。

裁縫や編み物のように、いろんな材料を使ったり寸法を測って立体的仕上げるために微調整したり計算したりのは苦手すぎてやる気もおきない。

刺繍だって得意な訳ではないが、これが一番希望がある。なにより生活の中に自然と刺繡を刺すということがとけ込んでいたら。どんなに豊かだろう。ちょっとした布巾にいたずらっぽく小さな模様をさすような、そんなのに憧れる。

何度かお手軽に真似事をしようと、簡単なキットを買っては作るのだが、説明書と根拠の無い勘をたよりに雑に、とにかく針をさしまくる。

これ本当は、まちがってるんだろうけど、ま、いいことにしよう。

そして毎回人様に見せられないものが仕上がる。

刺繍糸はどれも色合いが奇麗。どんなにへたっぴになったところで優しい色合いの糸を選べば単純なステッチを繰り返すだけで可愛らしく見える。

フェリシモさんのきほんのき。

これだけのために会員登録をした。

 

「憧れるけど不器用なのよね」

そういってごまかしてきたが、むきあったのか。むきあったことは一度もない。

でもどういうわけか、うまい下手は脇に置いておいていいんじゃない。作業している時間が好きならそれだけを味わうためにやるっていうのもありじゃないのと思ったのだった。

小学生の書き方練習帳の宿題が好きだった。一番上のマスに覚える漢字を書いて、あとはそれを10回ずつ下に向かって埋めていく。あれと同じように意味なくひたすら習う。そんなことをしたくなった。

ハードル低く気負わず。