お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

たぶんみんな同じ

水曜日。ゆっくり7時半に起きた。

一週間のなかで唯一朝寝坊のできる水曜日。月曜日は一限からあるので6時朝食。火曜はバイトで5時朝食。木曜一限、金曜一限、土曜二限で7時朝食、日曜バイト。

夫の単身赴任が決まったときに、「お、これでしばらく朝は楽ができる」とニヤッとしたが、とんでもなかった。

一年生のうちは一般教養もあるからまあ、と諦めたが、2年になっても状況は変わらず。できるだけ1日に講義をつめこんで、なんとか平日に休みをつくれないかと思案した自分と比べると、息子は実に正しい。

好きな教授、興味のある内容、シラバスを丹念に読み込み、私とは違う意味でああでもない、こうでもないと考えていた。その結果、ほぼ毎日一限始まり。うっそぉ。。。とテーブルに広げた履修表の蛍光ペンんで囲まれた枠を遠目にみながらクラクラしたが、まさか「もっと単位の取りやすいのを適当にいれてさ、うまいことやって楽なスケジュールにしたら」とも言えず。

王道をいく我が子である。

要領のよさとは、誰が教えてくれるんだろう。

そういう私もいいほうじゃない。母に言わせると「そういうのは真面目っていうんじゃない、バカって言うんだ」ということになるが、反論できない。

どことどこと、どこを押さえておけば問題なくて、どこは抜いてもいいのか、まったくわからない。

献立の栄養バランス。

日々の運動量。

休憩の取り方。

頑張りの度合い。

人付き合いにおいての自己主張。

学生の時からこういうことがバランスよく自然とできる友人達が不思議だった。アルバイトをして、オシャレをして恋をして、単位もおとさず、いつも溌剌とハイヒールで登校してきた。

いったいどんな毎日を、過ごしているのだろう。どんな秘密があるのか。私が悶々んとしていることなどについては、どう対処しているのか。

主婦になり、子育てがはじまると、今度は彼女たちはバランスのいい垢抜けたママとして現れた。

幼稚園のママたちはほとんどが、垢抜け才女ママだった。

適当にワルで、賢く、子供の勉強もうまくリードしてやり、毎日のようにホームパーティをしていた。今の私だったら「すごいなぁ」と眺めていただろうが、若かった。息子に肩身の狭い思いをさせてはならじと、必死になって我が家に子供たちを呼び、お茶会もし、ママたちに誘われたらランチにも映画にも行った。そして、ヘトヘトになりながらやっぱり、みんなはどうして、これらを上手にこなしているんだと教えて欲しかった。

そうしてみると、息子が多少傷つきながらも、路線変更を頑としてしないのは頼もしい。

軽薄な母のように、とりあえず流れに乗っておこうという発想はない。

「あぁ、学校行きたくねぇ…。母さんは大学のとき、学校、毎日楽しかった?」

遅い朝食のあと、身支度をしている息子に聞かれた。

「そうだねぇ。そう言われてみれば、チャラチャラ遊んでたくせに、いつも苦しかった。わけのわからない不安があった」

「へぇ。。」

「たぶんみんな、どこかしらそんなものを抱えているんだよ。それを友達とふざけあったり、誰かにちょっかい出すことで蹴散らすか、悶々と自分の中で発酵させて別のところで発散するか。どっちもたいして違わないよ」

そんなもんかね。ま、今んとこ、授業は面白いから行くけどさ。背中に大きなリュックを背負いでかけていった。

友達とのおしゃべりだけが面白くて通っていた私は、授業が楽しいから行くと言うキミの青春時代を、密かに尊敬するぞ。