お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

親子喧嘩その1

昨日、今の自分が他の誰よりいいと書いたその晩、まるでそれを試すかのような事態に遭遇した。

今日から息子が夫のもとに二泊で行く予定になっているのだが、その前夜になって、喧嘩になり、ついに息子は「俺行かない」と言い出した。

新幹線の切符も買ってある。夫が買ってやったのだった。そのときまでは仲良く「レンタカーで運転の練習をしよう」などと話していた。

夜の10時である。

「俺の金で切符を払い戻して返せば、行かなくてもいいだろ」

「それならそれで、ちゃんと自分で父さんに、行かないと話を通しなさいよ」

「なんでだよ、あっちが悪いんだから知らないよ」

「いくら親子でもそれは人としてどうなの、連絡もしないで行かなかったら、父さん、駅で何も知らずにずっと待ってることになるでしょ」

「仕方ないだろ、あっちがおかしいんだから」

話にならない。

親子間の約束で行くの行かないのだから、放っておいても構わない。構わないのだが、些細な意地の張り合いで、あれだけ楽しみにしていた夫がすっぽかされるかと思うと気の毒でならない。

東京で二人が揉めると私はいつも我関せずで通したが、今回はそういうわけにもいかない。

眠くてたまらないというのに、降って湧いた厄介ごとにため息をつきながら、夫の携帯にかける。直にもう一度息子と話すよう言うつもりで、不貞腐れて二階に行こうとする息子を「そこに居なさい」と引き止めた。

めったに命令口調で言わない私の勢いに思わずテーブルの席に戻る。その様子を見ると、本人も勢いで拳を振り上げたものの、降ろすタイミングを失っているのだ。

すぐに折り返しかけたのに夫は夫でまったく繋がらない。

あいっつ〜…。

こっちもこっちなら、あっちもあっちだ。

意地張って出てこない。

しつこいくらい長く呼び出し、何度もかけてみたが繋がらなかった。

知らん。好きにしろ。

だんだん、私までカッカしてきた。

寝よう。

そのまま二人を放置してベッドに向かう。

「なんだよ、人にそこに居るようにいっておいて、寝るのかよ、おれ、行かなくていいんだろうな」

「好きにしたら?」

「行かねえよ」

「お好きにどうぞ、おやすみなさい」

なんでうちの二人はこうなんだよ...。

疲れた頭と猛烈な眠気と苛立ちを抱え、あぁ今朝あんなことをふと思ったのはこれへの備えだったか、などとうっすら思い倒れ込んだ。

それでもこの状況で、誰とでも入れ替えてあげるよと言われても、断るなぁ。。まったくなぁ。。これが家族だ、これこそ。。。

鼻息荒い自分をなだめているうちにストンと深い眠りに堕ちていった。