馴染む
夫が帰ってきている。
昨夜9じごろ、到着して、夕飯を食べて。
不思議なものでかなりしばらくぶりなのに、違和感がない。
馴染む。
「何か変わったことない?」
「ないよ」
「困ったことない?」
何かあったような気もする。けどすぐに出てこない。
「ないよ」
「そう」
ちょっとがっかりしているようにも聞こえた。
「あ、そうだ、階段の電球・・・」
「あ、了解、帰るまでにやっとく」
いなくても、悲しくて、寂しくて、声が聞きたいなんて思わない。
向こうも毎晩電話をしてくるわけでもない。
それでも、夫が家にいると、自分が自分として、この世にいていいんだと思える。
私のいる意味があるような気がする。
今日は、気が緩んでいるのか一日中、ゴロゴロ寝てた。
これから義父と、食事だ。
いつも緊張する。楽しんでいるのに帰ると、どっと疲れている。
25年も経っても、嫁はくだけることができない。
今日は、あえて、よそ行きの服を着ない。
普段着にパンプス。小さなバッグもやめて、大きなカバン。
場を盛り上げるとか
楽しませるとか
余計なことで消耗しないで
美味しく食べて、空気に馴染んで、くつろごう。
穏やかな平和な時間に感謝しよう。