根に持つ
息子が風邪をひいたようだ。
「3時半になったら薬飲むから」
昼食後、そう言って二階に上がったきり、降りてこない。時計は3時50分になっている。寝てしまったのか。放っておいてもいいが、今飲まないと次の薬の時間に食い込む。上がっていくのがめんどくさくて下から大きな声で呼んだ。
「むすこー、薬ー、時間じゃないのー」
・・・。聞こえてないのか、寝てるのか。
もう一声。「ムースーコー。クースーリー」
・・・。
渋々階段を上がっていくと、のそっと出てきた。
「でかい声で呼ぶなよっ。近所中に聞こえるだろっ」
だって時間忘れてるのかと思って。
わかってるよ。自分で管理するから。わざわざ大声出さなくていい、いちいち言わなくていいからっ。
すみませーん。
薬を飲み終えた息子がこっちに向かって言う。
「あ、アリナミン、終わった、なくなった」
「・・・・。」
音声を発せず口をパクパクさせた。
「ん?何?」
「・・・・、・・・・・。」
「声を出せっ」
「・・・・、・・・、・・・・。」
「わかった!悪かった!」
「・・が・・・い」
「はぁ?」
「声が、大きい」
「クッソー」
ウシシシシシ。