お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

よきにはからえ

夫が戻ってくることを知らせると母はたいそう喜んだ。

「嬉しい。涙が出ちゃう」

そういって本当に目に手を当てる。あらまあ。そこまで親身になってくれていたんだ。

「これからリフォームの話進めるのにアナタだけじゃ頼りにもならないし。これで安心だわ」

あ・・そっち。でもまあそれでも我が夫のことは頼りになる大人として認めているのだと、なぜか私が得意になる。

その夫が昼休みに電話をしてきた。

「あのさ、引越し業者は決まったんだけど今、タイトみたいで日程がさ・・あ、タイトっていうのはさ・・」

「わかるよ、業者さんのスケジュールが混み合っているって意味でしょ」

「あ、そうそう。わかる?そうなんだけどね・・荷物の送り出しは月末にできるんだけど受け取りが一週間後の平日になる可能性があるみたいなんだよね、大丈夫かね・・やっぱりあれ、もう少し先にして土曜に届くようにしてもらった方が無難かね、週末なら僕も家にいるから」

「一人でもできるよ。荷物が届く時に立ち会えばいいんでしょ」

「そう。あと業者に指示出したりとかするんだけど」

「できますったら。この家に越してくるときも、全部やったの私じゃない」

「そうか、そうでした。じゃ、大丈夫ね。平日でも」

どうも、みんなに危なっかしいと思われているようだ。

姉は姉で昔っから私のことはおバカな妹扱いだし、最近では息子までも私のことを「とんちゃん」と呼ぶ。とんちゃんはおっチョコだからと、大事な書類は必ず自分で管理している。この単身赴任の間も、進路や履修のことなど相談したいことが生じた場合は夜中に夫に連絡をしていたようだ。

重要なところを任せられたことはない。そういった案件は私の頭の上で取り決められ進んでいく。

口出しさえしなければ、なんだかんだうまいこと回っていってくれるのだ。

つい最近まではそれが我慢ならず、バカにも人権を!と私だって私だってと自分も主要メンバーとして役に立つアピールをしてみたが、最近思う。

この位置はある意味、おいしい。

 

頼られないポジションっていうのは気楽でいいなあ。

みなのもの、よきにはからえ。