お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

雑草を抜く

夕方4時半、YouTubeでドラマを観ていて、急に、芝刈りを始めた。

できる気がする。なんか今ならできる気がする。

散々一日中、冷房の聞いた部屋に閉じこもってダラダラ過ごしていたら衝動的にそう思ったのだ。

完璧に全部やろうとしないことにしよう。

勢い込んでやらない。そう決めて、まずは伸びきっている雑草を手で抜いていく。

今日中に仕上げないでいい。明日また続きをやってもいいのだからと、地べたにしゃがみ込み、たらたらと、草を握り、根っこから引き抜く。

土と草をいじっているときはいい。そこだけに意識がいく。

土と草と手。背中に西日。ぬるい風。

早々と落ちてしまった柿の実をひろう。

ドクダミを抜く。あぁ。こんなところに三つ葉が生えてる。

鬱蒼としていた庭が少しづつ少しづつ、こざっぱりとし始める。

いつもは手っ取り早く、いきなり芝刈りでガーッとやって雑にあっという間に作業を終える庭の手入れ。ささっと終わらせて、あっという間に綺麗さっぱりさせ、それなりに満足していたけれど、こうやって、急がず地味にゆっくりやると普段感じなかったもの、見えなかったことが見えてくる。

風。土。手の感触。ダンゴムシ。カナブン。背中をつたう汗。

暮らすってこういうこともなぁ。

効率でなく、地道に地道に誰に褒められるとか認めてもらうとかでなく、味わう。

そう。味わうんだ。

キョロキョロ周りを見て自分を見つめるんじゃなく。

感情も、疲労も病気も心の波も、喜びや不安や悲しみも。

全部そのまま味わうだけ。

風が吹いてる。

陽が傾く。

それと同じで私も何か大きな力の下で生きている。

 

40点の出来でいいと思って始めた庭仕事。

仕上げに芝刈り機もかけたら70点。

ほんの一時間半だけれども、深い海の底に潜ったような時間。

 

いい一日にだった。