お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

つい・・なぜか

コンビニで映画を特集していた雑誌を買った。

三日前「あるな」と思っていたが、脳内保留していた。雑誌は、買ったその日とその翌日くらいにサーっと目を通したら、そこからはまだ読み残したページがあっても意外と読まない。

興味のあるところは拾ったから、あとは暇な時に追い追い・・と思ってマガジンラックに入れたら、それきりというのがほとんどだ。

これまでの経験でそんな自分の習性がわかっているので、最近はめったに買わない。 

ファッション雑誌も、奥様雑誌も、お料理雑誌も、旅ものも、街歩きも、パラパラっと立ち読みをして

「ま、お金を出してまではいっか」

とラックに戻して店を出る。

家に戻れば、パソコンに読みかけの本に、夕飯の支度や風呂掃除をしているうちにさっきの雑誌はすっかり頭から消え去っているのだ。

この映画特集はちょっと違った。

細かく作品を紹介しているのとはちょっと違って、食卓のシーンが魅力的な映画、ガーデニングが素敵な映画、メガネの似合う女性の映画といった切り口だったり、あらゆる映画を専門としない職業の人が自分の心のリセットに観る映画など、「そうそう、こういうのを知りたかった」という、なんというか、私にとっては映画の処方箋のようなものだった。

即買い。即決。

初めて見た日にすぐそう思ったのだが、根のケチ根性が、「いやいや、待て待て、一度冷静になって、これが一次的な衝動かどうか見極めよう」と即買いは思いとどまった。

それを、今日、買った。

ずっと頭の隅にあったのだ。

1280円。雑誌にしては勇気のいる値段だ。

レジに持っていく。

顔なじみの店員のお姉さんが

「うわ。雑誌、たか。」

と言った。

私もつい

「ねぇ」

と言う。

「高いですね。私なら買わない。」

お姉さんがバーコードをピッとしながら半笑いしてそう言う。

「私も普段は買わないんだけど、映画特集だったから、保存版だなと思って。」

なぜか言い訳をする私。

「ですよね。女性誌って表紙ぺらぺらなのに重くて高いんですよね」

「そうそうそう」

なぜか、女性誌を買う事がタブーなことのような流れになっているのに、懸命に同意する。美容院に行けば、ここぞとばかりに読むくせに。あれは興味ないですと言わんばかりに頷く私。

会計を済ませ店を出て、ホッとする。と、同時にこみ上げてきたモヤモヤ。

私は自分をどう見せようとしたんだろう。

女性誌などを買わないかしこい主婦か。

映画を文化として好む、知的な一面のある女性か。

何だろう。

ただの、その辺の人と違うんだって事を言いたかったような気がする。

・・・・・・。

ただのその辺の人なのに。