お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

頑張った

母からのお土産のカバンは、二つあった。一つはピンクのお財布型の紐のついたバッグ。もう一つは黒のキルティングのショルダーバッグ。

「どっちも同じ値段よ。はっきり言っちゃうと、定価は同じなんだけど、こっちの方が割引率は低いの。」

と、coachのピンクを私に押し出す。

「さすがブランドの意地ってものよね」

姉が付け足す。

黒い方がいい。これなら病院に行くときに本やiPadや入れて持っていけそうだ。素直に嬉しくてワクワクする。

「こっちがいい」

「えぇっ?そっち?えー。あなた、こっち選ぶと思ったのに」

母は自分が黒い方を使いたかったらしく、しきりに私にピンクを勧める。

「だって、お母さんがこの歳でピンクって・・・ヤダァ」

「私たちの間では、あなたはこっちを選ぶことになってたんだけどね」

どうやらチョイスが想定外だったらしい。間違っていたのか。

 

「そうかなぁ。じゃぁこっちにしようかなぁ」

「そうよ、あなた、たまにはこれくらい派手なの使いなさい」

・・・というのがいつもの私だが、私は日々変化している。そして今の私は二人に本心を言って気まずくなることを恐れない。

 

「こっちが嬉しいわ。使うイメージが湧くもの。病院やおばあちゃんのところに行くときに、あれこれ入れるのにいいわ」

黒いバッグを手にとって言う。

「えぇー。私がこれ使うのぉ?」

 

家に帰ってカバンをよく見るとタグにしっかり値段が張り付いていた。

・・・気に入ったものをいただいてきてよかった。