妻の手料理より
週末帰ってきた夫は今朝また早く5時前に戻っていった。
夫に食料を持たせる。
電話で「今晩何食べたの」と聞くと、納豆と味噌汁とトマトと言うか、「外で食べてきた」のどちらかで、米を研いで炊くことくらいしかしない。
昨晩、マグロに納豆を乗せて出したら「家庭の味だ」と喜ぶので「これくらいはできるでしょう」と言ったら「う〜ん」と苦笑い。納豆なら納豆、トマトならトマトだけ、味噌汁は湯を注ぐだけ。どうやら二段階組、つまり混ぜて、のせる。切って、焼く。になってくるともう、めんどくさくなるようだ。本当は三段階の、切って乗せて、焼く、くらいまでやってくれたら随分と楽して色々できるのに。数多い手抜き料理を教えてあげたい。
「新幹線じゃなくて東海道線でのんびり帰るから、痛まないかなぁ。あんまりいらないよ、冷やすの入れといてね」
「だって冷凍してあるから、持って帰ってそのまま冷蔵庫に入れておけば大丈夫だよ。傷みやすいものはないから」
作り置きして冷凍庫に入れておいたカレーとミートソースと五目おこわ2回分。そこに生協の八宝菜も入れて保冷剤と一緒に保冷袋に入れる。ホットケーキミックスで作ったリンゴのケーキもついでにもたせた。
「カレーから食べて。」
痛むのはこれが一番早いから、と付け加えれば、恐れてきっと食べずに捨てる。
私はそれこそ、納豆くらいだと、賞味期限を3、4日くらい過ぎていても自分の嗅覚を頼りに、「よし」と思えば食べる。夫は表示を頼りにするたちなので、こういうときに余計な情報は入れない方がいい。
「今晩は、このカレーでね」
「わかった」
床下収納を開けてあと何かないかと探していると「もう入らないからいいよ」と聞こえた。
「これ、あるんだけど。持ってく?」
「だから荷物が多く・・・・もってく」
「いくつ?4っつあるけど」
「じゃぁ・・・よっつ〜」
嬉しそうに彼がいそいそと抱えて持って行き、カバンに詰め込んだのは、母がくれた「どん兵衛」であった。
「どうでもいいけど、今晩は、カレー、食べてよ!」
「わかったわかった」
「せめて明日までにはカレーだからね」
「うんうんうんうん」
妻の手料理よりどん兵衛。