お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

母帰宅

母と姉が帰ってきた。相当楽しかったらしく、留守中の郵便物を届けにいったら、一気に話しだした。

「あ、そうそう、お土産ね。あなただから、遠慮なく言うけど・・」

きた。遠慮なく言うシリーズ。母は自分が買ったものを私にくれるとき、必ず値段を言う。必ず。こそっと喜ばすことができないのだ。言わずにはいられない。

「やめて、聞きたくない。知らずに喜びたい」

「いや、でも、いいのよ、日本円で二万か三万するんだけどね」

ほっら。そんな高価なものって。ずーんと重くのしかかる。いいものなのよってことをわからせたいだけなのだが。子供のような無邪気さがグイグイ私に圧をかける。

自分がいいと思ったものを相手が気に入ってくれるだろうか。とドキドキするのも母の可愛いところだが、それを拒絶されないために値段で圧力をかけてくる。ブランド物にあまり興味を示さない私には数字でわからせたい。どれだけ価値のあるものなのか。しかし困ったことに母が私にと選んでくれるものは、私の好みでないことが多い。さすがに、「いらない」「これは趣味じゃない」とは言わずありがたくいただくのだがリアクションが薄いようで機嫌を損ねる。大喜びして受け取っても、私が身につけている回数が少ないとクレームが来る。それじゃあ惜しげなく普段に使うと「そんな雑に使っていいものじゃない」と怒る。厄介なのだ。母からの贈り物は。

「午前中の宅急便で届くようになっているから。スーツケース。そしたら見にきてね。二つ色違いで買ったから、あなたが好きな方選んでいいわ。残った方私が使うから」

お。お。お揃いっ・・・。

「あ、そうそう。それからお歳暮。あなたがいくとき、私も行くから。デパートいくとき、声かけてね」

そのデパートに二人揃って色違いのものを身につけていくのは、嫌だぞ。

息子がリビングで寝てしまうのより、数段、嫌だぞ。

午後2時になったがまだ荷物は届かない。

気に入りたい。20000円もしたのだから。