エビフライ
息子が夏休みの課題、3000字のレポートに悪戦苦闘している。
「今日、どっか出かけるの?」
「家にいるよ」
「じゃぁ、俺のレポートが終わるように応援できるな。させてやろう。」
「やだよ」
「応援したいだろう。終わりますようにって応援したいだろう。しろよ〜。」
私の課題じゃないもーん。リビングのエアコンの一番よく効く場所を明け渡して二階にいるだけでも十分、協力しているつもりだ。
それでもいつまでたってもエンジンがかからないようなので、冗談半分に
「よし、もし、夕方までに終わったらエビフライを大量に揚げてあげよう。今夜はエビフライで祝杯だ。」
と言った。
これに、まさかの食いつきを見せた。エビフライは大好物。
「何時までに終わらせればいいっ?」
「六時半に夕食だとすると・・六時」
「嘘っ。三十分前までいいのっ?まだ時間あるじゃん。よしっ。」
すっかり大人になって、最近では私の体調をいたわり、勧誘の電話やインターホンも自分が出て追っ払うようになってきた息子にとって、私という存在がお荷物にならないようにと気にかける日々の中、これは久しぶりにお母さんっぽい気分になった。
エビフライで・・・。
スイッチの入った息子は今、ものすごい集中力の中にいる。
エビフライだけのために・・・。