経験者のお言葉
祖母のところにいってきた。
借金があって転職を繰り返す息子のいる親戚の家のことを、気にかけて、どうしてるかと聞く。
さっき食べたかどうかも忘れるのに、身内の話は印象に残るらしい。
「うーん、そうだねぇ。」
と言葉を濁すと
「そっか。まぁ、しょうがなわよ、生きてりゃなんかいろいろあるわよ」
とカラッと言う。
さすが。さすが、夫がスキーをしに行ったと思ったら、旅先で倒れて死んでしまい、一人でそのお骨を引き取りに山まで行き、働きながら子供3人育て、さらにその途中、次男の看病をして看取るという、いろいろのいろいろを生き抜いてきた人の言うことは違う。
借金だろうが、転職だろうが、息子との死別ですら、生きてる途中に起こるいろいろ。
あってはならぬこととしてアタフタするこたぁない。
一つ一つの出来事を乗り越えなくてはとか、試練だとか、そう慌てふためいて構えず、悲劇の主人公にもならず、
「ま。いろいろあるわよねぇ。生きてんだから」
肝っ玉の座り加減が、すごい。
なんだか風穴がスポッと空いた。
そうか、生きてるから、いろいろ起こるんダァ。言われてみればそりゃそうだ。
当たり前なんダァ。そうかそうか。
ありがとう。おばあちゃん。