お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

帰ってくる

明日は夫が午前中に帰ってくる。

なんだろう。なんだかんだ言っても、ホッとする。

素直に言おう。楽しみだ。

今は楽しみなのに、顔を見たとたん、それでよし、となる。

その瞬間から、昨日も一昨日も家にいた、家事など一切しない、自分の話ばかりして、つまらないダジャレを言い、物音がうるさくて、デリカシーもなくグイグイ詮索して、すぐ寝てしまう、鬱陶しく腹立たしいも夫になるのだ。

それでも彼の中で私が一番好きなところは、全身全霊で自分が一番好きな人だというところ。

恐ろしいほどにブレない。

ちょっとやそっとの非難中傷はへでもなく、かすり傷にもならない。

夫が「結構、大変」というのは何度も聞かされたが、「俺、もうダメ」というのは一度も聞いたことがない。

これは私の勝手な妄想だが、小学校5年のとき、ある日突然、両親が離婚し、母親と別れ、それ以降、何度も何度も辛い思いを抱えた日々の中で、ここまで頑丈なメンタルが築き上げられたのだろう。

私と知り合うずっと前に、彼はもしかしたら何度も泣いて、俺ってなんなんだろう、俺ってなんのために生きてるんだろうともがいたのかもしれない。

 

・・・なんて離れているとそんなセンチメンタルに夫を考えてみたりもするが、毎回、奴が戻って来てテーブルにどかっと座り、嬉しそうに笑って「うちはいいよなぁ」と言いながらだらしなく足を投げ出しているのを見ると「ちょっと美化し過ぎたか」と妄想を消す。

明日の午前中、帰ってくる。日曜までしかいない。

優しくしよう。 

祝う

息子の転科試験。合格した。

どっと疲れが。昨年の大学入試より今回の方が二人とも緊張していた。

この数日、自分に言い聞かせる為に「受かる、受かる」と、ぶつぶつ呪文のように3分1回くらいの頻度で呟かれ、正直、精神的に私も追い詰められていた。

まったく心配していないかのように

「大丈夫よぉ」

とヘロヘロしていたが、内心、これ、ダメだったら、泣くんだろうなぁ。。。と思うと、なんとしても行かせてやりたいと願う。

彼がこんなに必死になっているのは初めてだった。

結果が出てあまりに脱力した二人。

「なんか、こう、パーっとしたいねぇ」

「うん、疲れたよね」

「今晩なにか食べにいこうか」

「いいね」

・・・・・・。

ここで息子が「なんかその気力も無い。」

私も「だよねぇ、家で食べよっか」

結局スーパーのお寿司で乾杯。

息子、人生を切り開いたことに乾杯。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心地よく

引き続き体調がよろしくない。

たぶんこの急激な気候の変化に脳と身体がうまく反応できていないんだろう。

反射神経と運動神経が鈍いから、そんな気がする。

相変わらず日向でウトウトして午前中を怠惰に過ごす。二日目になると、至福感も弱まりなんとかシャッキリしたいと思う。

台所の模様替えをした。どうも今の配置は動線的に使いづらい。リビングとカウンターバーで仕切っただけの狭い水回りに配膳台テーブルと調理容器を乗せたワゴン、ゴミ箱、そして冷蔵庫に洗濯機がぎゅっと詰まっている。

隣は風呂場なのでその一箇所で家事のほとんどがこなせるのは便利なのだが、狭いので動きづらい。

テーブルの向きを変えてカウンターに寄せ、ワゴンを勝手口に移動させた。ゴミ箱はシンクの脇に置いて調理しながら出た余計なものはすぐ捨てられるようにした。

この家に住み始めた頃は、まずは見栄えで家具を配置した。

パッと見、すっきりしている方が好きだ。極力余計なものは買わず、少ないものですっきりとをモットーにできるだけ小洒落たキッチンにしようと目指していた。

鍋は使ったらすぐ洗い、しまった。ガスコンロの上はいつもやかんだけにしている方がカッコよかった。フードプロセッサーやハンディミキサーも欲しいと思ったが「置く場所がない」との理由で却下した。すっきり暮らすのは結構根性がいった。

服装もそうだが、最近はもう、着心地、使い勝手重視になる。見てくれよりも心地よさ。自分がご機嫌でいられる形態をとことん追求する。

会社勤めをしていた頃はお腹を締め付けるようなコルセットを身につけ、少しでも体型がマシに見える服装をした。今思うと、よくあんな鎧のようなものを毎日毎日しながら仕事ができていたものだ。

服を買うときの現在の基準はとにかく身体が楽なもの。肌触りの好きなもの。好きな色。洗濯機でジャブジャブ洗ってもへこたれないもの。これに尽きる。

台所もそうなってきた。

チマっと狭いところにハンディミキサーやトースターやレンジ、お玉に鍋も全て手の届くところに置いてある。ふらっと来て、なんとなく少しだけ下ごしらえしたりする。洗った皿を載せて置くカゴも大きさサイズの方が便利なので、でんと存在感のあるものをシンクに載せてある。鍋も洗いあがったそばからガス台にまた戻す。常にスタンバイしている。こうしてからは、料理をすることへのハードルは明らかに下がった。日常の流れの中にストンと収まっている。

台所の配置換えをして、動きやすくなったところで冷蔵庫を開ける。昨日買っておいた鶏胸肉を取り出して、少し考える。

チューブのおろし生姜とおろしにんにくをビニール袋に絞り出し、醤油と酒を少し入れて、鶏肉をそこに漬け込んだ。

片栗粉と小麦粉をだいたい同じくらいの量をまた別のビニールに入れて、鶏肉をそこに移し入れた。

夕方、これを揚げよう。

日常がゆっくり自分の速さで過ぎていく。

模様替えをしたようにちょっと新鮮になった台所。

新学期に向けて机周りを大掃除する春休みのようだ。