ただの毎日の中で。専業主婦の平和すぎる日常

自分の思っていること、ちょっと引っかかったこと。誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

褒められた記憶

小学5年生の時。

学校の廊下で。

一階の職員室の並びに放送室があった。

いつもそこの扉は閉まっているのだけれど、その日はなぜか半開きだった。

放送室のドアは防音の綿が付いているから分厚くて重い。

放送委員の私はそれを知っていた。

その前を通り過ぎようとした時、風が吹いたのか偶然かわからないけれど

ギーッと扉がゆっくり閉まり始めた。だんだん勢いがついて早くなり、もう少しで閉まるっ。

バッターン!という大きな音がするのを止めようと、走ってドアに近寄って両手でぐいっと一旦、止めて、そして閉めた。

パチパチパチ。

振り返ると隣のクラスの担任の若い男の先生が立って拍手をしていた。

話したこともない先生。私はもちろん知ってたけど、この先生は私を認識していない。

「やるじゃん」

自分のクラスのよく知ってる子に言うみたいに褒めてくれた。

照れくさいのと嬉しいのとで、私はぺこぺこお辞儀をしてその場を去った。

それだけ。それだけの出来事。

あの先生の名前も顔も思い出せない。

なのに今になってもあの瞬間を思い出すとホクホクっとする。