どこにいたって見守るさ
TANTOという車のCMを見ていた。
小さな子供と若いパパとママが遠出に出ている。そこで子供が嬉しそうにはしゃいでいるのを離れて微笑ましそうに眺める夫婦。そこでパパ役のDAIGOさんが一言。
「もう少し、見守らせておくれよ」。
するとそれまでスマホをいじっていた息子が
「しょうがねぇなぁ。じゃぁもうちょっとだけだぞ」。
すかさず私。
「いや、もういいよ。十分堪能した。いいよ、もう」
「コラッ。もういいとかいうな!」
「来年20になったらもう、いいよ。出てっても。これまでありがとう。楽しかった」
「こらこらこらこらっ。もう少し見守れよ」
「いやいやいやいや、もう十分。ありがとう」
「コラッツ十分とかいうなっ」
来年、二十歳かぁ。
夜中の掃除機
夜中に目が覚めた。つけていたyoutubeの睡眠用BIGMが終わり、自動的に流れていた動画がうるさくて起きたようだ。夜中なのか。明け方なのか。頼む、ぐっすり寝た後の早朝4時くらいであってくれ。
時計を見ると0時45分。夜中というほどでもない。ベッドに入ったのは11時だったたいして時間は立っていなかった。がっくりする。朝はまだ遠い。
トイレに行った。どこかでウィーンウィーンとモータ音がしている。
髭剃り?室外機?・・・掃除機だ。この音は。掃除機、間違いない。
誰だよぉこんな時間に。
仕事納めで酔って帰ってきた一人暮らしの青年が、律儀に夜中、大掃除をしている姿が頭に浮かぶ。そう思うとキュンとした。
明日、忘年会と称して友人達がやってくる女の子かもしれない。掃除機をかけながら台所で何かコトコト仕込んでいるかもしれない。
彼がきて二人で忘年会のために準備しているのかもしれない。
実家に帰る前の日に自分の家も大掃除をしているのかもしれない。
なぜか夜中の掃除機から連想するのは一人暮らしの若者ばかり。
今、何を思って掃除をしているんだろう。テレビをつけながら呑気にだろうか。辛いことの多かった一年を振り払うように泣きたい気持ちだろうか。翌朝待っている楽しいことを想像してワクワクしているんだろうか。
音が止まった。納得がいったのか。
心の中はすっきりした笑顔で電源を切っているといい。