お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

まっすぐの人

昨夜、夕食の後、映画を観ながら気がついたら寝ていた。12時。はっと思い、iPadのラインを確認する。

やっぱり。夫がラインを入れていた。

私たちはファミリーラインを持っている。これは単身赴任が始まる前からで、基本的な役割としては、震災などの非常事態のときに連絡を取り合うために息子の提案で作った。実際のところは、日々それぞれが「これから帰る」とか「テスト頑張れ」とか「家を留守にする」とか、してもしなくてもいい会話をそそっと打ち込み合うものとなっていた。

4月から夫は姫路、息子は大学進学とそれぞれが気負った生活が始まると、このラインは意外な役割を持ち始めた。

朝。「おはよう」と夫。「おはよう」と私。「うむ」と息子。

夜。「みなさま、お先に寝ます。お仕事も課題も頑張りすぎず、明日もあるので早く寝るようにしてください。お休みなさい」と私。「おやすみ、まだ会社です」「おやすみ」

夜。「今、仕事が終わりました」夫。・・・・。「今、帰宅しました。これからご飯です」・・・。私は寝ている。・・・・。「これから寝ます。おやすみなさい」するとそこに「はよ寝ろや」と息子。「元気か?」「うるさい、寝ろ」「学校、どうじゃ」「うるせえ、寝ろ」二人の会話が短く残っている。

それが、昨夜は私も息子も寝入っていた。

見ると、「今、帰りました」のくだりがいつものようにあり、だぁれも返事せず、最後は「おーい、おやすみ」となっていた。慌てて電話をかける。

すぐ、出た。

「ごめん、食後、うたた寝してた」

夫は今日は夕飯はチェーン店の牛丼だったといい、仕事が山ほどあること、でも人はみんないい人だということ、を酔っ払いながらいい、最後に、変わりはないかと聞いた。

「ないよ。大丈夫」

電話を切るときに夫はこう言った。

「ありがとう。元気出た」

これは反則である。

夫にはこういう素直なところがある。これをやられるから、私は彼を男としてではなく、人として向き合ってしまう。