ただの毎日の中で。専業主婦の 平和すぎる日常

自分の思っていること、ちょっと引っかかったこと。誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

私の平和

煮豚を作ったり、人参のシリ尻を作ったり、卵料理を作ったり、自分で仕掛けたものを自分でこなす1日だった。

と、書くとなんかすごく、台所仕事だけしていたような感じになるから、文章って不思議。こういうのをイメージ操作って言うんだろうか。ちゃんと書かねば。

午前中は二度寝からノソノソ起き出して、9時ごろ遅い朝ごはんの後、ホットカーペットにお腹をペタンとくっつけて、顎をクッションにのせ、安住紳一郎の日曜天国を聴く。集中して聴く。料理をしながら、掃除をしながらだと、スルスルっとおしゃべりを聞き逃す。逃さず全部、聴きたい。リスナーのメッセージも含めて全て聴きたい。

番組終了、15分前くらいになると、それなのに私は自分からラジオを切る。エンディングの「二時間にわたり、ありがとうございました」というのは聴きたくないのだ。別れを告げられる前に、自分からサヨナラをする。「さようなら!」と言われてからラジオを消すあの感じがなんとなく、なんとなぁく、淋しい。

自分から区切りをつけて、台所に立ち、食材と格闘し、トイレとお風呂を掃除して、食器棚のガラスが気になったので磨いて、掃除機をかけたら3時半だった。遅い昼を食べて、買い物に出て戻ると息子が帰っていた。すぐ夕飯に取り掛かる。あぁ、私が自分の流れで動く時間はここまでだ。

これでいいのかもしれない。

あれをやってこれをやってと、自分の時間をなんとか確保して、一人のお楽しみ時間にこだわった時もあったけれど。今もそういう時間がぽっかり手に入ると嬉しいけれど。

家の中のあれこれを、ただ、こなして1日が終わる。その合間合間に本をちょっと読み、ちょっとCDをかけてぼうっとする。

それが私の心地よいリズムなのかもしれない。

まぁ、午前中、思いっきり怠惰に過ごして置きながら何をいうっていう話ではあるのですが・・・。

平和な日曜日。

嬉しいか嬉しいよ

何を間違えたのか、生協から人参と卵が二つづつ届いてしまった。

人参は息子が苦手とする野菜なので、調理法が限られる。カレーやポトフにしてしまえばあっという間に消費できるのだが、もろ、the 人参!というのは嫌がられる。

タラコと人参のシリシリを大量に作った。これはウケがいい。これで二本。あとはキンピラ牛蒡にして・・・まぁ残りはゆっくり使えばいいや。

問題は卵。鮮度が落ちるから、なんとなく時限爆弾を抱えてしまった気分になる。

オムレツとオムライスを作って冷凍。タマネギと人参と挽肉を炒めて、卵で包む。息子の朝ごはんに使える。リンゴケーキに一個。目玉焼きに毎朝二個づつ。それでも追いつかない。

「あ、俺、今週の火曜から冬期休暇に入るから、土日以外は家にいるんで」

今朝、目玉焼きを乗っけられたカレーライスを食べながら息子が言った。

なんといいタイミングだ。よかった。これで、うまいこと使い切れる。昼ごはんのたびに卵料理にすればいい。

「あら、よかった」

つい弾んだ声を出す。

「なんだ、俺が家に毎日いるのがそんなに嬉しいか」

「そりゃ嬉しいさ」

「そうか嬉しいのか」

美しき誤解は美しいままがいい。

 

寝ぼけたまま日が暮れた

朝、息子のアルバイトに付き合って、いつもは4時に起きるのが、今日睡魔に負けてしまった。

「飯、何食えばいい?」

「あ・・・卵かけご飯・・」

「わかった」

「と・・・食器棚にどら焼きがある・・・」

「やった」

遅れてのそのそ起き上がり、リンゴを剥いて、牛乳を入れて追加で出して、テーブルに座ったが、頭はまだ半分も覚めていない。まぶたの奥から重りがぶら下がっているようだ。

息子をお送りだし、また寝る。

電話が鳴っている。時計を見ると7時半だった。寝てることにして出るのをよしちゃおうかな・・・あ、旦那かも・・。電話はきれない。夫だわ、これは。

「何だヨォ」

「あ、おはよう、寝てた?」

「寝てたヨォ」

「悪い悪い、ここんとこ忙しくて連絡できなかったから心配してるだろうと思って」

「・・・・」

「もしもし?起きてる?」

「・・・起きた」

結局一日中、眠気に包まれたままだった。調剤薬局に病院の薬をもらいに行かなくてはならず、外に出たが、頭はぼんやり夢の中を歩いているようなふわふわしていた。公園を歩きに寄ってみたものの、足がいつもより重くて、結局ベンチに腰掛け、子供と遊ぶ若いパパとママ達を日向ぼっこしながらぼんやり眺めた。

なぁんか、疲れてんのかなぁ。

背中がポカポカあったまったところで立ち上がり、スーパーで買い物をして帰った。

お茶を入れて、チーズとクッキーとコーヒーをお盆に乗せて、二階にあがる。

午後の日の当たる部屋で改めてゴロンと横になる。

何という贅沢。

息子が帰ってくる5時半まで、丸々私の時間。

やらなくちゃいけないこともなく、痛いところもなく、眠いから寝るという、このうえない贅沢にすっぽりくるまった。

私は女の子あいつは男の子

テーブルクロスをひいた。何年ぶりだろう。息子が生まれる前まで私のまだまだ娘気分の主婦で、取っ替え引っ替え何かかけていた。フリルのもの、シンプルな水を弾く実用的なもの。

乳幼児が伝い歩きを始めると危なっかしくて、引っ込めた。幼稚園にあがると毎日のように園の帰りにクラスのお友達が遊びに来て、おやつを食べたりお絵描きをしたりする場所となった。小学生高学年になり、そろそろこぼしたり引っ張ったりしなくなって来たからと、またテーブルを飾った。すると、そこで宿題をするのに、クロスが邪魔になると文句が出た。「そりゃそうだ」とまた、引っ込めた。

中学、高校、勉強は居間でしていたのでそれ以来ずっと、我が家の木製のテーブルはいつも木肌むき出しで、ご飯の時は、そこにお盆に乗せたそれぞれの食事か、ランチョンマットが乗っかった。

この頃は、どちらかといえば傷のたくさんついたこの焦げ茶色の木目の見えるまんまの方が好きだと思っている。

今日、食器棚の下の棚を整理していると、かつてのテーブルクロスがたたまれ収まっているのがあった。

去年の今頃は大学受験でそれどころじゃなかったけど、そうだ。もう、関係ないんだ。

子育てのピークが過ぎたんだなぁ。

息子は今でも課題の締め切り間際になるとパソコン持参で居間にやってくる。でも、そんなのはもういいだろう。

学校のママたちがお茶をしにきたり、学校の先生や夫の友人とか、当分、これから気を張るお客様が来るということはそうそうない。よそゆきにしていたのを普段使いにおろして使っちゃおう。

薄いピンクと紫の中間のようなクロスを広げた。中央上に小さな若草色のマットを乗せた。そうだそうだ、確かここに・・・食器棚の上扉を開ける。あったあった。白いキャンディポット。母がいらないとくれたが、私も使いようがなく、しまっておいた。これも使わないでしまっているくらいなら、惜しがらずに置いちゃえ。

クロスがかかってお澄まししているテーブルの真ん中にキャンディポットを置き、その中にのど飴を入れた。

いいじゃーん。

夕飯時、息子がおもむろに言う。

「なんでテーブルクロス、ひいたの?」

「見つけたらなんとなく。気分変わるかなと思って。」

「フゥン・・・・で、この白い容器は、なんであるの?」

「・・・オシャレだから。」

「これ、何?」

「・・・・・のど飴」

「ふーん。ま、いいけどね」

ふん。風情のない奴。

職人気質の彼

今度買った掃除機は、やたら細かい。いや、賢い。

わずかなチリでも見逃してくれない。いや、見逃さない。

電源を入れて、床を滑らせる。ゴミを感知すると赤いランプをつけて自動でブォーっとターボをかける。そして綺麗になったと彼が納得いくと、ランプは消えて、通常の緑のランプがついて、また静かに仕事をする。

使い始めの時は、びっくりした。赤いランプばかりがついてなかなか前に進めない。

「もう、ちょっと神経質なんじゃないの」

無視して進むと部屋中いたるところで赤いランプがつく。掃除機の方でも「おいおい・・こりゃぁないぜ」と呆れていたことだろう。

あれから数日が過ぎ、今は毎日かけ続けている成果か、だいぶランプのつく範囲は減ってはきたが、彼の仕事への執着心は相変わらず厳しい。昨日あれだけしっかりやったから、今日は合格点だろうと思っていても、そうはいかない。

一晩の間に床に落ちた塵や服から落ちたホコリ、髪の毛、目につかないゴミを徹底的に除去しないと気が済まない親方は、ちょっと進んではすぐ、「はい、ゴミみっけ」とランプをつけてブオォォォォっとモードを切り替える。

よーし。私も次第に「今日こそは」とムキになる。

床をまず隅から隅まで雑巾掛けをして、それからスイッチを入れた。

これで文句はないでしょう。ふふふ。今日はお仕事のやりがいがなくてつまらないかもしれませんぜ、親方。

けれども職人は許さない。今日も得意げに赤ランプを点滅させてこれ見よがしにブォォォォ。

それで今日はとことん親方の気のすむまで付き合ってみた。赤いランプがつくたびにそれが消えるまで延々とそこで止まる。平均30秒くらいかけて、その現場を何度も何度もヘッドを上下させるとやっと合格となり、前に進める。とことん付き合った。

ついに部屋のどこをどの角度からかけてもランプはつかなくなり、充電も切れた。

「よし、今日はここまで。よく頑張ったな。」

「はい、親方。ありがとうございました。」

私たちの間に妙な一体感が芽生えた。

「うむ。明日もまたやるんだぞ。」

・・・おそらく、一晩明けた翌朝にはまた、全て一から始まるのだろう。

修行は続く。

リンゴを煮る

リンゴを二人の方からそれぞれ箱でいただいた。ご近所に配っても毎日朝に晩に食べてもおいつかない。

よし。煮よう。

一つ320グラムの大きなリンゴ4つに、少なめの甜菜糖、まずは150グラム。大匙4杯の呼び水、ちょっとの塩。

グツグツしたらコトコトに切り替えてじっくり時間をかけて煮た。

 

あーぶくたったぁ煮えたったぁ♪煮えたかどうだか食べてみよ。ムシャムシャムシャ。

あれは小豆を煮るという遊び歌だったっけ。

まだ煮えない。と言って、また歌って輪になって回る。真ん中に一人しゃがんで、そのまわりを手をつないで回る。ムシャムシャムシャ。のときに、中に座っている子の頭をみんなで揉むのが面白くてわざと髪の毛をモシャモシャにさせた。

そんなことを思い出しながらなんども鍋を開けては上下かき回し、味見する。

まだ足りない♪砂糖を足す。

りーんごたったぁ煮え立ったぁ。あまぁくなったか食べてみよ。

・・・まだ足りない♪

何度も何度も味見をしているうちに口が甘たるくなってきた。多すぎたら取り返しがつかないと、少なめに入れたので3回、追加した。

 

シナモンをたっぷりかけて、レモン汁を回しかける。

シナモンの香りでたちまち、手の込んだ風の匂いが台所に立ち込めた。

お鍋に火をかけていた部屋はあたたかい。

 

ジャムの空き瓶に4つできた。

一つは母に、一つは近所の友達に。

あとはホットケーキミックスでリンゴケーキにしよう。

冷凍パイシートでアップルパイもいいなぁ。

 

 

緑のセーター

今朝、段ボールのゴミ出しで顔を合わせた直後、母がやってきた。

「あなたが白いシャツ着ているうちにと思って」

私は同じく今日、収集の新聞をまとめているところだった。来たなぁ。

昨日、彼女は横浜の一泊旅行から7時ごろ帰ってきた。

ニューヨークに続いて、今度はお友達と横浜のホテルでお泊まり会だったのだ。

スーパーが億劫で今度は横浜かいっ。

うそうそ。機嫌よく遊びに行ってくれるのは見ていてこっちも嬉しい。

しかし、面白くなかったようで、帰ってくるなり、うちに来て、散々、一緒に行った仲間の悪口を言う。

ご飯の食べ方が汚い。すぐそこに中華街があるのに、夕飯はコンビニでおにぎりや御菜を買って部屋で食べたとか、外人墓地も異人館も行かないで元町でお買い物だけだったとか。

ふふふ。

母は姉との旅行は姉のいいなりになってついて歩く。それは姉の興味持つもの、行きたがるところが全て美術館、ジャズ、モーニングの素敵なカフェと、アカデミックなところばかりなので「興味ない」とは言えないから。私相手だと自分の好きなタイミングで好きなところで好きなものを食べ、好きなところに連れ回し、自分が疲れたら、はい、今日はここまでとイニシアチブをしっかり握るのだが、姉にはなぜか一歩引く。

それに続いての今回は、今度は内弁慶の彼女の特性が楽しみを半減させたようだった。

「そんなの嫌だ〜。外人墓地、行こうよ〜」

と、できない。私と美術館の帰りにケーキを食べたいと行って、道の真ん中で動かなくなったくせに、外だと物分かりのいい人を演じてきてしまう。

「それでさ、買いたくないのに、買え買えって言われて、仕方ないから緑のセーター買ったのよ。胸のところにNってあるんだけど。・・・まぁ物は悪くないんだけどね」

これを聞いたとき、いやぁな予感がした。これは、来る。近いうちに私のところに、これを着ろと持ってくる。

これまでのパターンでいくと、そうなのだ。自分が買ったものの気に入らないもの、数回着たけれど、やっぱりいらなくなったが、高かったから捨てるのも気がひけるもの、全て私にあげることで解決する。

ひどいときは、「ダメならあなたが着ればいいと思って買った」と言う。

それらを引き受けるのが自分の役目としてきた私のところには、やたら上等で自分には似合わなく、お洒落着なので着心地も良くない服がたくさんある。

それがあるがゆえに、私は自分で服を買えない。タンスに上等なものがあるのにユニクロで新品を買う矛盾に、なぜか私が悶々としてしまうのだ。

「これなんだけどねぇ」

ほうら。例の緑のセーター。

「いらないよ」

「そう言わないで着てみてよ。物はいいのよ。アクリルにカシミアが混ざっていて、バーゲンで6500円だったけれど定価は15000円してたんだから」

6500円あれば、ユニクロの首回りに模様のある、あの臙脂色のセータを買ってお釣りがくる。

一応、着てみせたが、薄いので暖かくない。今脱いだセータは、父が昔着ていたもので、やはり母が捨てられないからと持って着たものなのだが、カシミア100パーセントで何年経ってもあったかい。古いから惜しげなくトイレ掃除もできるし暖かいので、実用的だが、これはダメだ。

「似合ってるわよ。いいわよ、似合うわよ」

「いらないって。全くなんでこんなもの買って着ちゃったのよ。だいたいNって、誰よ。私、Nじゃないもーん」

「あげるって、何かの中に着てもいいじゃない。似合ってるって」

いつもはここで負けて、引き受けた。着て、着れないこともないと自分をなだめて、とりあえず受け取ってしまう。

しかぁし、私は今日は負けなかった。

「いりまっせん。誰か、他を探してくれぇ。」

母はムッとした。そしてシュンとした。

「チェ、そっか、ダメか」

もらってやればよかったかな。一瞬揺れる。

いいや。いらない。仕方ないと諦めてくれ。

 

何かを撃退した気分。