お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

見られた

芝刈りをしました。明日は雨だというので今日のうちに。母のところと自分のところを芝刈り機でざっと荒くやりました。草を刈った後の土と混じった青い匂いが風に乗って部屋に入ってくる。好き。ぼんやりした空とゆるい風の午後です。

午前中、寝ていました。リビングで。息子が春から6時朝食なので、5時から5時半の間に起きる生活が始まり眠い。ひたすら眠いのです。

送り出した直後は、まだ活性化された脳の状態なので、大丈夫。洗濯物を干し、トイレと風呂を掃除して、あれやこれや気になることをちょこちょこやります。自分が眠くなることがあらかじめわかっているので、頭と体が動くうちに、思いつく限りのことをしておくのです。そうしているうちに「あ、切れてきた」と、脳みそがトロンとし始めるのがわかります。

コーヒーを入れ、自分の朝食をお盆に乗せ、いそいそとテレビの前に座ります。だいたいいつも、これが9時半ごろ。

あらかじめ録画設定してあるNHKの朝のドラマと『あさいち』を再生し、一人、午前8時の気分でまったり食べはじめるのが至福の時間の始まりです。

食べ終わり、『あさいち』の後半を見ているあたりから、どうしようもなくまぶたが重くなる。ゴロンと床に寝そべり、遠くの方でテレビの音が聞こえつつ、とろとろと眠りに落ちる。・・・贅沢。

ところが。今日、事件が。事件がおきました。

物音がして、眼が覚めると、庭に面した窓ガラスの前に、私が注文しておいたが熱中対策水の箱、二つが、どどんと置いてあります。

え・・。いま。来たの?

ということは、窓越しに私が午前中からテレビをつけっぱなしで、両手を上にあげて、仰向けになって眠りこけているのが、見られた!

チャイムが鳴ったのも気が付かなかった。受け取りのサインはどうしたんだろう。

なんで、黙って置いていったのかしら。

・・・!まさか。

すぐ、中扉でつながっている隣の実家にいきました。

「お母さん、今、宅急便・・・」

母はゲラゲラ笑いながら、

「ごめえん。うちの玄関に置いてこうとするから、そんな重い箱、嫌だから、ここに置いといてって、連れて行ったの。窓からあなたが寝てるのが見えたら配達のお兄さん、笑ってたわよ」

・・・あんまりだ。

佐川急便のお兄さん、ちょっとかっこよかったのに。

ま、いいんですけど。いいんですけどね。

もう嫁にも行き、出産までしてる身ですからね。

でも。でも乙女心もこっそりと持ち合わせてるのに。こっそり。

母、厳重注意。再び。

それでも老婆の家の庭の芝まで刈ってあげる。

神様。愛をもって見る。他人も自分も一切裁かないとは、こういうことでいいんですよねっ。 

マダムのお茶会

昨日、七日。母の代理でご近所のお茶会に行ってきた。

お茶会。お茶会。なぜにお茶会。

「さっき、綾小路さん(もちろん仮名です)にお会いして、今度の日曜にお茶会をするからいらしてねって誘われちゃったわ。どうしよう。行かないといけないわよねぇ」

と母が憂鬱そうに言いに来たのが1日。その翌日、「ご近所の親睦を深めるきっかけになればと思い企画いたしました。どうぞご参加下さい。1時から4時までです。」と回覧板を使って筆で日時を書いたメモが回ってきた。

仮名に綾小路さんと思いつくくらい、大きなお屋敷に住む、いかにもマダム。ご主人を亡くされて昨年から息子さん夫婦と、幼稚園前くらいの坊やと二世帯生活になられたお祖母様。同じ二世帯でもうちとは全く文化も雰囲気も違う、お上品な感じの奥様なのである。

私はご近所さんとよく立ち話はするけれど、マダムはそんな輪には加わらない。通りすがりの挨拶程度しかしたことがない。

「ほほほ・・・お暑いでねぇ」と声をかけられたらつい、「えぇ。ごきげんよう」と私もミニマダムになってしまうけれど、私にはその素養はないので、このお茶会は行かなくていいやと思っていた。

ところが。母が何度もなんども、ねぇどうしようと言いに来る。

「行きたくないなら無理しなくていいと思うよ。お付き合いがあるわけでもないし」

「でもぉ。」

どうやら、道端で誘われたときに「ええ。ぜび伺いますわ。オホホホ」と言ってしまったらしいのだ。

人見知りで、あったことのない人とお茶を飲むなんで、一番苦手なくせに、八方美人の母。今頃、ブルーになっているのだ。

「行かないで家に居るなら、じっと電気消して静かにしてないとバレちゃうわよね」

もう・・・。

それでも私は欠席してもいいと思っていた。きっとそういうのが好きな方が集まって楽しく優雅になさる。何もいやいや来られたってあちらも楽しくないだろうし。

そう言っても「でもぉ。大人としてどうなのかしらぁ」

・・・・。じゃ、私が顔だしてくるよ。代表して。

というわけで、私が伺ったのだ。豪邸マダムの御屋敷に。

「あらぁ。行ってくれるのぉ?そうなのよ。私も誘われていかないのは大人としてどうかなと引っかかってたのよぉ」

誘われて行きたくないのに「伺いますぅ」と言うのも、大人として如何なものかと思われます。お母様。以後、注意せよ。

 

 

ありがとう

ゴールデンウィーク、長かった。

昨日をもって私の連休は任務完了。また今日からダラダラとした日々が始まる。

冷凍庫の中には張り切って作った食材がたんまりと残っている。

夫に「少し、持っていく?」と聞くと即答「いい」。

そう、夫は超、リスクマネジメント人間。素人の作った冷凍食品を持って行き、また冷凍庫に入れる間に余計な菌が繁殖するかもしれないと思っているのだ。失礼しちゃう。

「ありがと、いいよ。まだ送ってくれた冷凍食品がいっぱいあるから。」

私の冷凍庫コレクションが減らないのは嬉しい。

「そうお?いろいろあるのよ」

とは言ったけれど、ラッキー。さっさと食い下がった。

六日早朝、夫は姫路に戻った。やっぱり見送る時は寂しい。そして、同時にやれやれとも思う。結局回転寿しと床屋に行ったくらいで、どこにも出かけもせず、ほとんど家で寝ていたけど、やっぱり家族が揃っている状態は意味なくいい。本当に意味はないのに。

一つだけ、重要な任務を遂行してもらった。階段踊り場の高い天井からぶら下がっているペンダントライトの電球。半月ほど前から切れて、夜、不便だった。息子は高いところでの作業ができないといって、めんどくさがる。私は届かない。夫が帰ってきたら、これだけはやってもらおうと思っていた。

ついでに、風呂場の切れかかっていたのと、リビングの小さな角のライトも合わせて交換してくれた。リビングの方は三つあるうちの、一つだけ切れていた。それは後で自分でもできると思って頼まなかったが、やはり、明るくなると気分も晴れる。

昨日、夜寝る時電気をつけて階段を上がった。ピカッと階段が明るくなると、夫を思う。

会社で働いてくれてありがとうじゃなく、階段の電気のたびにありがとうと思う。

変なの。