お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

台風に備えて

台風が近づいている。今度の19号は前回の15よりも規模が大きく私たちの住む関東地方にもほぼ直撃することが予報されている。

「俺、バイト、どうしよ」

息子は土日、早朝出勤のアルバイトをもう三年続けている。毎週5時半に家を出て電車に乗って通勤しているが、今週末は交通機関も計画調整をすると言っているし遅刻せずたどり着けるかと心配している。

「土曜はいいよ。なんとか朝はいけると思うけど、やばいよ、帰ってこられない」

勤務が終わるのは5時。土曜のこれからいよいよ激しくなる時間帯にぶち当たる。

「会社に仮眠室とかないの」

「ないよ、あっても社員専用だし」

働く者、皆同じじゃないか。

「みんな同じこと考えているようでさ、ホテルどこも空いてないんだよな」

「ホテル泊まるの?」

「なんでだよ、俺の金で好きで泊まるんだからいいだろ」

アルバイト出勤にホテル・・・。

「タクシーで帰ってきたとしてもそっちの方がホテル代より高くつく」

「休もうという発想はないの?」

「ないっ」

台風だろうが高熱だろうが這ってでも出社して行った亡き父と同じなのか、お主も。

「なんでそんなにしてまで働きたいの?」

「働きたいから」

ああ、そうか。それならよかった。

【俺が行かないとダメなんだ】とか【休んだら怒られる】とか言ったらちょっと残念なところだった。

そうか。好きなのか。自分でそうしたいからそうするのか。

ならよかった。

ホテル一泊3万4千円。

情熱だなぁ。