一時間があっという間に過ぎていくアプリ
友達にメルカリのアプリを教えてもらった。
メルカリ。ネット上のフリーマーケット。
個人がそれぞれ自分の持ち物で譲りたいもの自分の好きな値段をつけネット上にあげ、閲覧してそれを欲しいと思った人とサイト上のコメント欄で直接やりとりをして売買する。
種類はいろいろある。衣服はもちろん、雑貨、家電、スポーツ用品、手作り品、カメラ、パソコン。映画や演劇などのチケット、教科書、ホテルのアメニティ、飛行機ファーストクラスのアメニティ、未開封のハッピーセットのおまけなんていうのもあった。
見ていると面白い。いろんな価値観の人がいるのだということが具体的に直接的にわかる。
こんなの売りに出していいのかなと躊躇してしまう人はここには参加していない。ある程度の前向きなハートを持っている。
「趣味で買い求めましたが、ほとんど使っていません、状態はほぼ未使用品に近いです」
というのがアベレージとすれば、「これは映画のチケットではありません。半券(鑑賞した後手元に残るもの)です」というのを1000円と売り出している強者もいる。
一眼レフカメラのカテゴリでも、売る人によってはほぼ未使用で丸々ケーブルからSDカード、wi-fi接続の機器全てセットにして気前よく1万8000円というのがあれば、激安!1万8000円!と掲げておいて、よくよく見ると、ケーブルその他が欲しい方はプラス5千円でおつけします。なんていうのもある。こういった機器はパソコンと同じで一見似たようでも年代によって大きく機能が違ってくる。しかしそこがこのサイトの面白いところで、かなり最新のものなのに、「張り切って買ってみたものの思ってたほど使わなかった」という理由で手放す人が、「引き取ってくれるなら儲けようとは思わない」とかなり遠慮気味の値をつけて出品していたりする。
出品者のハートによって決まるその価値は相場がどうだとかとはかけ離れていることも多々あるようだ。
ハートレベルはアベレージ、やや強い、強い、スーパー強い、ウルトラスーパー強い、超絶ウルトラスーパー強いと別れる。
菓子パンについているおまけのシール、3枚で1000円。「長期保存していて少し黄ばみがあります、神経質でない方」とコメント付きのものがあった。
図々しい。確かに画面上から見ても若干薄黄色い。これが1000円。おまけでついてきた古いシールが1000円!
一人憤慨していると、その近くにも同じパンのおまけシール14枚セットで1500円というのがあった。この人も長期保存後のため若干の汚れありと書いている。
前者が一枚やや300円、後者がやや100円とつけた価格は違うにしても、複数の出品があるということはこのキャラクター同好者の間では需要があるらしい。
私がこのパンを買って袋を開けたら、「あら。シールが入ってた」と言いながらぽいっと捨ててしまう。価値観は本当にわからない。
一番ギョッとしたのは使用済みの明らかに薄汚れているサンリオキャラクターの枕カバー。5000円だった。
「きれいに使ってあるのでほぼ新品です」とあるが、どう見てもそうではない。
枕カバーといえば、頭をじかに乗せる布である。うちの息子は子供の頃時々そこによだれを垂れた。
いくら洗ってあるとはいえど。
旅館やホテルではそうではないかといってしまえばそれまでだが、自分の使っていたそれをどこの誰が買い求めるかわからない公の場に売りに出す感覚が全くわからない。
子供が使っていたとは限らないよなぁ。今時サンリオ好きの大人もたくさんいる。
相当お金に困ってしまっている苦学生かしら。
家賃滞納した一人暮らしの会社員かしら。
・・・女性とは決まってないか・・。
・・・匂いはどうなってんだろう・・。
見ず知らずの人のその品一つからあれこれ想像してしまう。
人間の善意と欲と、親切心とずる賢さとおおらかさが渦巻くこのアプリ。
あまりに安いパソコンや一眼レフカメラを見つけては「これ、お買い得」「これも」と全て買い揃え、カメラを持って散歩に行きwi-fi経由でパソコンに取り込む自分を妄想し、夢を見る。
根っからの人見知りとめんどくさがりが、かろうじて衝動買いを押しとどめているのだった。