お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

誰も知らない

昨日は8度の熱を出し、午後からずっと寝ていた。

それでも食欲だけは落ちないもので、いやむしろ私の癖なのだが、体調を崩し始める前後、やたら食べたくなる。

朝食後、バナナ二本食べても満足できない。

おせんべ、クッキー、チョコレート、チーズ。

食べても食べてお腹が苦しくなったところで、横になる。

こんな治療法、あるはずないと思うが、不思議とこれで回復するのだ。

懇々と眠り続け、途中、息子がなにやら話にきて、いい加減に返事をし

「流したな」と言われたのを覚えているが、それでもずっとベッドにいた。

目を覚ましたのは6時半だった。

「夕飯6時半だからね」と約束したていたんだっけ!

慌てて起き上がり、台所に行くと、頭もスッキリしていて、やる気でみなぎっている。

午前中食べたものが全て先ずは回復するためのエネルギーに回り、それでも余ったものが今の私を突き動かす。

結果、やや回復ハイになっていた私はこの時間から天ぷらを揚げ始めた。

揚げ物はいい。

油の匂いが家中に充満して、活気に満ちる。

なにより景気がいい。

元気一杯の台所の象徴のように思える。

山盛りの人参と海老の天ぷらに作り置きの煮豚、トマト、レンコンのきんぴらを食卓に並べた。

滞りなく夕飯を整えられると、自分の中ではなんとか持ち直したと認定する。

熱も下がり、7度5分。この程度は許容範囲なのでほぼ全快と言えよう。

今日1日のあの食欲と睡魔と立っていられないほどの気だるさはなかったことにしてもいいような気すらする。

家族は誰も知らない。

私の爆食いも、発熱も。

誰も知らないうちに発症し、回復したのだった。

ものすごい事件だったのに。