お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

悩ましい

 いよいよMacBook Pro君が長寿を全うされるそのときが近づいている。

電源を入れリンゴのマークのところまではいくが、そこからシューンと立ち消えになってしまう。

まるでおじいさんが全力で立ち上がろうとしているその途中で「ちょっとたんま・・」とゼイゼイいいながらしゃがみ込んでいるようだ。

そこをこちらは容赦なく何度も何度も再起動させる。

すると何回目かにしてなんとか起動してくれるのだが、それでもやはり作業中「今日はここまでにしてもらおうかの・・」と、画面を勝手に暗くしシャットダウンしてしまう。

 

9年前に買ったものだ。

コンピュータは9年というとそうとうの年季ものになるらしい。

これまでに何度かこれに似たような症状はあり、その度に昨年、一昨年と、無理をいって街中のMac修理店でなんとか動けるようにしてもらったが、その度に

「いやあ、もうこれが最後でしょうね、次はもう無理」と言われてきた。

こっちは買ったときの嬉しさと大事さが未だにあるので、自分の中では今でも最先端マシンのつもりで使っていたがコンピュータの世界では時代遅れの世代なのだそうだ。

いよいよお別れの時が近づいている。

それは強く感じる。年内もつか、もっても来年の夏までは無理だろう。

薄情なもので「するってぇと、新しいのを買わないとならん」と次に購入する機種を物色したりする。

こんどはもう少し小さいのにしようか、メモリはもう少し増やそうか。

値段を確認しているうちに気がついた。

そうだもうじき税率が変わる。

どうせ買うなら急いだ方がいいんじゃないか。

そうは言っても目の前の相棒はまだヨロヨロとだが踏ん張って立ち上がる。

すぐ疲れてしゃがみこんでは、よっこらしょとまた動き出すのはまるで私のようだ。

ううむ。

いつ動かなくなるかわからない。取り敢えずそのときのために買うだけ買っておくか。

しかし、それは死ぬ前から火葬場や葬儀場を抑えておくみたいで気がひける。

なまじ自分が危篤状態から奇跡的に復活しただけあって、ホイサッサと割り切れない。

機械に感情移入してどうする。そんなことじゃこれから先、いろいろと生きにくいぞ。

そう思いネットでマック下取りサイトを検索した。

いくらかにでもなれば次のマック購入資金になる。

シリアル番号をいれ、査定額を調べると「申し訳ございません。この機種はお取り扱い対象外です」とでた。

市場では完全にお役に立たないものらしい。

うううううむ。

そうか。そうなんだ。君は本当に力の限界で動いてるんだね。とっくに現役引退してもいいトシなのに、何度も何度も蘇りながら今もこうやって起動してるんだね。

毎回突然システムダウンするのも無理もない。

そうなるとますます愛おしい。

しかし現実問題、困る。パソコンとして稼働するまでに30分以上かかり、作業できるのも小一時間というのは困る。

時は着々と近づいている。

ひーん、どうしよう。