お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

何しに出たのやら

友人達にこの時期になるとささやかな贈り物をする。5人の一人一人に今年は何にしようかと考え、送った届いたのやり取りをするのが楽しい。

昨日もその一人からラインが届いた。

「ありがとう。あのさ。どうでもいいんだけど宛名が花井になってたよ。店員さんの写し間違いかね」

サーっと青ざめる。店員さんのミスではない。私だ。私が書いていった伝票を印字し、二人で確認したのだ。伝票の段階で間違えていたのだろう。姉妹のような付き合いの彼女であろうとよりによって名字を間違えるとは、一番やってはいけない間違いだ。

ライン上でひれ伏し謝る。

気にしないでと笑ったスタンプを返してくれたがしばらく凹む。

家族の誰にも話して笑う気にもなれない。

その日の夕方、ポストに私宛の封筒があった。

福島に住む、トマトを贈ってくれたお母さんみたいな友達。

私も同時にさくらんぼを贈っていたので、今度はあちらから届いたよの手紙だった。

中に小さな団扇が入っていて、小さな便箋に彼女の文字が書かれている。

弾む心で読み始める。

さくらんぼ、ありがとう。甘くて実が閉まってて美味しかったよ。差出人がタッさんの名前になっていたからお母さんが「トンさん具合悪いのかしら」って心配していたけど、ハガキ読んで元気そうだったから大丈夫なのね。

えぇっ。

ここでもか。

夫の会社関係のものも同時に頼まれていたので、緊張のあまり自分の方にまで夫の名前を記入してしまったと思われる。

毎年自分の名前で贈っていたのが突然、夫名義になったので何事かとお母様が心配なさるのも当然のことだ。

今朝、慌ててお詫びの手紙と届いた団扇と先日のトマトの写真をプリントし、封筒に入れた。

とにかく早い方がいいと靴を履く。

そうだ、生協の入金も。

そうだ、回覧板も。

スーパーに回ってお昼のパンと・・ビールと・・あとチーズも買ってこよう。

まずはコンビニでの生協の払い込み無事完了。

他にも物珍しい商品がたくさんありそうであれこれ物色したいが、気を散らしポストのことを忘れちゃいかんとすぐに外に出た。

通り道にユニクロがあり、その扉がパカッと開いて限定セールだと私を誘う。

ここは礼を尽くさねばと、店内を視察する。大判のTシャツがなかなか優秀で一瞬心奪われ鏡の前に立つ。

綿の素材は丈夫そうでいいんだがな。この色じゃなぁ。あ、こっちにもある、ああ、白もあるじゃない、サイズは・・ああMとLしかないか・・Mでもいいかな・・黒?黒もいいかな・・などとしている間にハッと我にかえる。いかんいかん、何も買わず店を出る。

ささっと買い物して帰ろう。

手短に決めていたもの掴んではカゴに入れる。

ワッフルが目に留まる。

・・・どうしよう。食べたい。冷たく冷えたカスタードクリーム。

食べたいならお食べ。

迷うがカゴに入れる。

何か買い忘れた物がないか確認し、清算してからマイバックに詰め込み、ヨタヨタ背負い、まっすぐ寄り道せずに家に戻った。

袋から買ってきたものを取り出し冷蔵庫に入れ、財布を引き出しにしまおうともう一度袋に手を突っ込んだ。

あ。

あぁっ!

そこには黄色い封筒がちゃんとある。

ちゃんとあってはならんのだ。

あぁ・・・・。

これだから・・・。