お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

早めに白旗

そして私が熱を出した。

7度5分。ふらつきくと頭痛がするが、痛み止めを飲んだらなんともない。

しかし、知っておいてもらいたい。

「熱、出たわ。7度五分」

「げ、俺のうつったか、母ちゃんやばし」

「大丈夫、そうは言ってもなぜかしんどくない」

なら言うな。以前は不調と言いつつも、動けているのだから敢えて言う必要ないはずだと、自己処理案件として多少のことは誰にも言わなかった。

内心、しんどいんだけどなぁと思いながらも、手抜き家事で乗り切った。

家族はもちろん、そんなの知ったこっちゃないのでいつものように「やれ、あれはどこだ」だの「食後食べるもの、なんかないか」など言ってくる。

勝手に具合悪くなって黙ってるんだからしょうがないよなと、ヨタヨタそれに付き合う。

夜、やっとベッドに潜り込んだとき、なんだかとても疲れ果て少し悲しくなっている。

 

私具合悪いのー、しんどいのー、と言えない。

なんか、こう、意地というか。

なんに対する意地なのか。

甘ったれと思われたくないという。

・・・・つまり実は甘ったれだから。馬鹿になれない。言えない。

かっこよく少々熱があろうと台所に立つお母さんっていうキャラクターでありたい。そう認識されたい。

本当にかっこいいお母さんは、熱を出して家族に言わず家事をこなし、誰にもそれを知られなくとも、夜、自分が可哀想になったりしない。

結局私は甘ったれだ。

かあちゃんは一度死にかけてるから、そこを基準に考えるから大丈夫って思っても、加減が麻痺してっからな」

「あぁ・・なるほど」

そいじゃ、行ってきますと出て行った。

息子流の「無理すんな」。

ええかっこしいしなくてよかった。