お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

豆苗

庭の小さいテーブルに豆苗の「もう一度」を置いた。

一回買ったものを切り落とし「もう一度」水を張り苗が生えてくるのを待っている。

息子は豆苗が嫌いだ。

スーパーで友達に「ベーコンと炒めたらうちの娘も食べたよ」と聞いたので買ってきた。ベーコンとさっと炒め塩をちょっと振りかけただけのそれを本人は豆苗だとは気づかずぺろっと食べたので、こりゃあいい、もう一度収穫して食べようと、今、毎日水を変えているのだ。

3日目の今日、早くもひょろっと新芽が出てきている。

嬉しくなってそばにいた息子に

「見て、豆苗ニョキニョキ出てきた」

と見せた。

「なんだそれ」

「豆苗、一回切ったのに水をやってもう一回収穫するの、生えてくるんだよ」

「・・それ、俺も食べなくちゃいけないの?」

「いや、いいよ、別に食べなくても」

そう言いながらも心のうちでは、ベーコンと一緒にまた食卓にだすつもりであった。

「じゃ、俺は食わない」

「いいよ。かあさんはこれの柔らかいところをつまんでウニと敢えて食うがな」

「なに?雲丹だと?」

「そしてその上からイクラをパラパラっとふりかける」

「じゃあ俺はその上に乗っかったところだけいただく」

「そしてそれをマグロの赤身でキュッと巻いて食べる」

な、わけはない。