お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

整わないままの日々

連休の後半あたりからボチボチおかしいなと感じていたが、やはり張り切りすぎたようで、明けたとたん、調子がよろしくない。

不調を感じると、まずは隠してきた。

言ってみたところでこちらが望むような具体的手助けをしてもらえることもないし。

一つ一つ事細かに指示を出してやってもらうのも、なんだかすごく口うるさいようで、めげてしまう。

相手もはじめは気分良くやってくれるが、あんまりそれが重なると「めんどくせえな」と表情に出る。そしてその表情を見て、更に私は落ち込み悲しくなる。

この一連のことを何度か経験して、言わなくなった。

心の中でヤバイヤバイと思いながらもなんとか表面上、通常モードでいようと孤軍奮闘し、それで乗り切れる時もあるし、自滅ということもある、というのがこれまでであった。

ホウレンソウ。

夫が息子に話しているとき、「社会に出たら報告相談連絡は大事だ」と言うのをふむふむと聞いていた。

「いきなり手のつけられなくなった結果だけ持ってこられても、もっと前から情報共有していれば対処のしようもあったかもしれない。少なくとも一人抱え込むよりは、もう少しいい展開があったかもしれないだろ」

ううむ。これは・・・耳が痛い。

具合が悪くなり始めの予兆は私しかわからないから言わない。

まだ寝込むほどでもないし。大袈裟だと煩わしがられたくないし。

いよいよ調子が悪くなっても夫も息子も料理はできないし、こっちもご飯が作れないほどの重症にはまだ至ってないから言わない。鬱陶しがられたくないし。

そして本当に辛くなってくると、今度はばつが悪いからギリギリまで隠そうとする。

自分のせいで家の中が辛気臭くなり、自分が家族の心配の種になる。

そのへタレさ加減に惨めになるから言わない。

 

ああ、私はホウレンソウをしていなかった。

心配させたくない困らせたくないと言っておきながら、最終的に手がつけられない状態で爆弾を落とす。これを家族に向かってやらかしていたのだ。

体から不調のサインが出はじめた時から本当にぶっ倒れるまで、時限爆弾を「みんなに迷惑かけるし・・」とこっそり懐にあたためるという恐ろしいことを、何度も何度もやらかしていたのであった。

何度か言って、相手が思うように動いてくれなかったとがっかりし、そのダメージをもう味わいたくないからと閉ざす。まるで子供が拗ねたように。

言うだけでよかったのだ。どうしてもらおうなどと思わず状況を説明するだけ。

それだけで、あとは余計なことは何も求めず、とにかく体を休ませることに専念する。

恐らくそれが一番騒ぎが少ない。

「だからなんだというわけではないのですが、なんだかやたらと眠くてだるくて、でも眠れない。時々気が遠くなったり点滅したり」

医者じゃないんだから言われても困るだろうがそう言った。

「すぐ寝たら?病院行く?薬は?飲んだの?」

「いや、それほどじゃない。どのくらいかというと服を脱いで湯船に浸かることが、しんどくて嫌だという状態」

「あー。じゃ風呂もういいからそのままもうベッドで横になったら?寝らんなくてもテレビつけてゴロゴロして目閉じてれば、そのまま朝になってもいいから」

ああそうかと思う。そうすりゃいいのか。そういうやり方があったのか。

思ったほど二人は心配しない。

いつも通り話し声が聞こえ、遅くまでテレビの音が聞こえ、翌朝は食べ終わった食器が流しにたんまり溜まっていた。

夫もいつも通り髭を剃り歯を磨いた後、新聞を読みながら朝食を待って座っている。

息子もいつもと同じく呑気に朝寝坊をしている。

これが誰にも何にも言わず「ちょっと先に寝るね」と眠りについた翌朝だったらどうだろう。

少しはいつもと違う私の動向に、どうしたんだと気にかけてくれてもさと、どんよりしながら皿を洗ったことだろう。

いつも通りモグモグ食べ、着替え、玄関に立つ夫。いつもの「それじゃ、言ってきますんで」の後に付け加えた。

「トンさん、調子悪かったらご飯作んないでいいから。帰ってきてご飯なくても別に大丈夫だよ」

そこまでじゃない。が、やはり気持ちに余裕ができる。

こんなことからやり方を変えている。

整わないままそのまま、とっちらかったまま暮らしていくってこういう感じか。

いいじゃん。これ。